2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592317
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
上園 晶一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10291676)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甫母 章太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60385359)
|
Keywords | 筋弛緩薬 / 中枢神経系 / 吸入麻酔薬 |
Research Abstract |
今年度の研究計画は、1.筋弛緩薬の脳室内投与による骨格筋弛緩作用の測定、2.吸入麻酔薬の最小肺胞濃度(MAC)に対する筋弛緩薬脳室内投与への影響の測定である。脳室内薬物投与量は、静脈内投与による骨格筋弛緩を得る95%有効濃度を参考に決定した。今年度は再現性のある確実なデータを集めるため、これらの研究計画に必要な技術的なトレーニング(静脈内投与や脳室内投与等)及び使用機器の精密な校正等を中心に行った。特に不確実な脳室内投与は、データのばらつきに大きく影響するため、トレーニングを十分に行った。脳室内ガイドカニューレを作製し、脳定位固定装置を用いて側脳室への確実なカニューレ留置が可能となった。またMAC測定に必要なテールクランプ法及び機器の校正などの準備も整った。 使用する筋弛緩薬はパンクロニウムとロクロニウムであるが、パンクロニウムのほうがpHが高く安定しているので、まずパンクロニウムにおける脳内投与量に関する用量反応曲線をまず構築することを最初の目的としていたが、テクニカルな問題の解決が遅く、用量反応曲線がある程度のシグモイド曲線になるまで症例数をかなり増やしている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究において、ばらつきのないデータを収集するためには、脳室内投与やMAC測定などの基本的手技を確実に行える事が重要と考えており、スタッフの技術面での訓練が進んでいる。昨年度は実験器具の設定に時間がかかり、実際の動物実験のほうに遅れがあったが、今年は、技術面での進歩があり、ある程度一定の結果が得られるところまで来ている。しかしながら、筋弛緩薬に関する用量反応曲線については、症例数を積み重ねる必要があり、この点においては、予想よりもやや遅れている。また、筋弛緩薬や拮抗薬の脳脊髄中濃度の測定に関する研究について、脳室内カニューレからの脳脊髄液採取が必要になるが、実際どの程度のサンプルが採取可能であるかについては現在の段階では確認できてない。この点についても、予想よりもやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
側脳室への確実なカニューレ留置が可能となり、今後は実際に筋弛緩薬投与による骨格筋弛緩作用の測定及びMAC測定を対照群、ロクロニウム、アトラクリウム、パンクロニウム、スガマデックスについて、十分な症例数行える見通しがたった。また脳室内投与に関する研究に先立ち、投与量の決定のため、静脈内投与による骨格筋弛緩作用の測定が必要なことが明らかになり、併せて行う予定である。さらには筋弛緩薬の静脈内投与後の血中及び脳脊髄液中濃度の測定を高速液体クロマトグラフィーにて行うことも視野に入れている。これらの研究計画がうまく進まない場合、必要に応じて米国Cornell大学麻酔科やWake Forest大学麻酔科に研究を進めていく上での助言を受け、研究を実施していく予定である。Cornell 大学から帰国した須永講師にも分担研究者と加わってもらい、最終年度である今年度の研究を加速させていける予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の実験は、技術面での習得、つまり、脳室内投与やMAC測定などの基本的手技を確実に行えることに焦点が行き、本来の目的である筋弛緩薬を用いての実験回数が予想よりも少なくなった。その分、筋弛緩薬などの試薬など消耗品の購入が予想よりも下回った。 筋弛緩作用の測定に使用していた神経刺激装置が老朽化しているため、Biphasic刺激対応の電気刺激装置・アイソレータの購入及び使用薬剤(ロクロニウム、アトラクリウム、パンクロニウム、スガマデックス)の購入を予定している。またMAC測定のために揮発性吸入麻酔薬を使用するが、保有している麻酔ガスの余剰ガス排出装置の劣化が著しいため、簡易的な余剰ガス排出装置も購入する。
|