2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24592318
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂本 篤裕 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30196084)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 全身麻酔 / 吸入麻酔薬 / 静脈麻酔薬 / マイクロRNA / 神経障害性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は24および25年度の各種臓器における包括的miRNA測定結果を基に、中枢神経系における麻酔薬の種類による発現変動の差異、既に測定されたmiRNAと中枢神経系に関連するmRNAとの関連性検討、中枢神経系へのantisense miRNA投与の検討、ならびに臨床応用のための血漿中のmiRNA変動と各種臓器miRNA変動の関連性について検討を行い、以下の知見を得た。1)吸入麻酔薬セボフルランおよび静脈麻酔薬プロポフォールによる全身麻酔は、海馬における373種のmiRNAのうち14種において発現変化が異なっている。2)中枢神経系におけるmiRNA発現変化とmRNA発現変化に有意な関連を見いだせず、また、現時点でantisense miRNAを中枢神経系へ有意に移行させる方法を見いだせなかった。3)血漿中のmiRNA発現は、麻酔薬により一過性に減少するが、筋肉特異的miRNAは持続的に低下し、心筋および骨格筋との関連を認めた。以上の結果は、miRNAへの麻酔薬の影響、特に筋肉特異的miRNAへの作用機序を解明する一助となる結果を示したが、miRNAの発現変動の麻酔作用への影響については明らかにできず、miRNA変動調整による全身麻酔作用への影響等さらなる検討を要する。一方で、麻酔薬の種類による発現相違の確認により、重要臓器不全時のより安全な麻酔薬選択の基礎的データを示した。また、血漿中miRNA発現変動測定により、各種病態変化、特に心筋障害、神経筋疾患等における全身麻酔の影響を臨床的に測定するための基礎的データを示した。
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