2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛治療の新規分子標的候補であるグリシン受容体α3サブユニットの役割の解明
Project/Area Number |
24592326
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高澤 知規 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30400766)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
これまでの研究により様々な慢性疼痛のメカニズムが報告され、治療薬の開発が進んできた。しかし治療に難渋するケースも多く、新規治療薬の開発が望まれている。 近年、グリシンやGABAによる抑制が脊髄後角において減弱すること(脱抑制)が、慢性疼痛時によく見られるアロディニア発症のメカニズムの一つとして挙げられるようになった。一方でグリシン受容体のサブユニットの一つであるα3が疼痛伝達関連部位の脊髄後角浅層に特異的に発現していることが報告された。 本研究の目的は、脊髄におけるグリシン受容体α3サブユニットが炎症性疼痛時のアロディニア発症に果たす役割を調べることである。その目的を達成する第一歩として、グリシン受容体α3サブユニットの機能を解析するための手法の確立に重点を置いた。そのために、今年度は通常のラットのくも膜下腔(腰部)に留置したカテーテルからグリシン受容体α3サブユニットのsiRNAを注入して、熱刺激および機械刺激に対する反応が変化するかについて調べるための行動実験を行った。siRNAとしての機能が無いmutant siRNAを投与した群をコントロール群とした。また、siRNAを注入したラットにおいて受容体の発現量に変化が見られるのかをウエスタンブロッティング法により調べた。 これらの実験により、来年度以降に炎症性疼痛モデル動物において、グリシン受容体α3サブユニットの機能解析を行うための基礎を築くことができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では今年度中に炎症性疼痛時のグリシン受容体α3サブユニットの質的・量的変化について調べる予定であったが、その段階に至ることは出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、炎症性疼痛モデル動物を用いて、炎症性疼痛の閾値がα3サブユニットの抑制により変化するかどうかを調べる。また、α3サブユニットがtonic inhibitionの分子基盤であるかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は動物、siRNA、抗体を購入するための費用に充てる予定である。
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