2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24592331
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高倉 康 福井大学, 医学部, 准教授 (40206735)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 軽度低体温 / 軽度高体温 / セボフルラン / 血管収縮 / 血管拡張 / 臓器血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
麻酔薬を使用する周術期に頻発する軽度の体温変化時に,血管反応性や臓器血流がどの様に変化しているのかを研究した.[方法]1.雄ウィスターラットから摘出した胸部大動脈,頸動脈,肺動脈,腸間膜動脈,腎動脈,大腿動脈リング状標本をクレブス液(34℃,37℃または40℃,pH7.4)中に牽引後,ノルアドレナリン(NA)による収縮反応およびアセチルコリン(Ach)による弛緩反応を、等尺性張力変化を測定することにより評価した.2.ラットを2.0%セボフルラン麻酔下に気管切開、大腿動静脈カニュレーション、開腹し、レーザー血流測定用プローブを、食道、肝臓、腎臓、腸間膜に挿入または接着した後、セボフルラン濃度を2.0又は3.0%としラットを灌流温水で直腸温41.5℃まで加温した。加温中の平均血圧、心拍数、各臓器血流を連続測定した。また、加温前後で動脈血を採血し乳酸値を測定した。[結果]1. 軽度低温34℃でのNAに対する収縮反応に有意な変化は認められなかったが,Achによる弛緩反応は、肺動脈、頸動脈、腸間膜動脈で増強がみられた.軽度高温40℃でのNAに対する収縮反応は頸動脈、肺動脈、腸間膜動脈で増強が認められたが,Achによる弛緩反応は有意な変化は認められなかった.2.2.0 %セボフルランでは体温上昇に伴い平均血圧、心拍数、下行大動脈血流量はそれぞれ有意に増加した。肝臓、腎臓、腸間膜血流も徐々に増加したが統計学的有意差はなかった。3.0 %セボフルランでも40℃以上の体温上昇で平均血圧、心拍数の増加が見られたが、下行大動脈血流量の有意な増加はなかった。肝臓、腸間膜血流量は一定に保たれたが、腎血流量の有意な低下が生じた。乳酸値は2.0、3.0%の両方で上昇した。[結論]周術期における軽度の体温変化時にも麻酔薬濃度依存性に血管反応性が変化し、臓器血流の再分布が生じていることを示している.
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