2013 Fiscal Year Research-status Report
テトラビオプテリンの代謝経路とコリン作動性阻害剤の鎮痛機序
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24592334
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
J・P Bellier 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助教 (80346022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 維光 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80242973)
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Keywords | テトラヒドロビオプテリン / アセチルコリン / GTP cyclohydrolase 1 / 後根神経節 / 痛覚伝達 / dorsal root ganglion |
Research Abstract |
グアニル酸シクロヒドロラーゼ1(GTP cyclohydrolase 1; GCH1)はテトラヒドロビオプテリン(BH4)生成経路の律速酵素である。またBH4は一酸化窒素とカテコールアミンの生合成に必要である。GCH1の酵素活性はGFRP(GCH1 feedback regulatory protein)という調節因子によって修飾されることが知られている。最近、痛覚伝達経路においてはGCH1が重要な役割を有すると報告されている。我々はアセチルコリンがBH4の合成過程に関わっていると考えている。 従って本研究では、in vitro とin vivo でBH4、GFRP、GCH1及びGCH1 /GFRP の複合体の局在と機能活性を検討する。In vitroで後根神経節の神経細胞, GFRPが発現する細胞株とGFRPを持たない細胞株を用いて実験する。まず、高速液体クロマトグラフィー法でBH4およびほかのビオプテリンを測定した。GFRPによるBH4生成の影響を調べた。また、GFRPの発現に対するニコチン性のアゴニストの効果およびBH4 合成阻害剤の影響を調べた。さらに、GFRPが高い安定性のあるホモマー複合体を形成することを認めた。 In vivoで神経障害性疼痛のラットモデル及びコントロールラットを用いて検討した。Proximity ligation assay、免疫組織染色法、blue-native電気泳動法とウエスタンブロット法により, ラットの神経系におけるGFRP、GCH1、およびGCH1 /GFRP の複合体形成についても検討した。ラットの脳においてGCH1とGFRP分布のマッピングを明らかにし、GCH1およびGFRPと共存することを明らかにした。さらに様々な脳内部位GCH1 /GFRP の複合体形成を確認することが出来た。 本研究の結果によりテトラヒドロビオプテリンの代謝にかかわるGCH1の活性修飾に調節因子であるGFRPが関与することが示唆された。また正常なラットの脳においてははじめてGCH1 /GFRP の複合体形成の存在を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験は、計画通りほぼ順調に実施された。新しい抗体の作製に成功しているし、GFRPの発現する細胞株と発現しない細胞株を確認もできた。一方、コリン神経作動性薬剤のテトラヒドロビオプテリン合成に及ぼす影響の検討は少々遅れており、現在実験条件を修正しつつ、測定の安定化を目指している。今年度はそれに関連する実験を進めると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
神経障害性疼痛のラットモデルにおいてGCH1 /GFRP の複合体形成を検討する。また、種々の薬剤の効果を検討する。GFRPの新たなパートナーのかかわりを調べる。 1) Proximity ligation assay、免疫組織染色法、blue-native電気泳動法とウエスタンブロット法により、神経障害性疼痛のラットモデルの脳における GCH1 /GFRP の複合体形成がどう変化するかを確かめる。 2) 培養細胞系を用いて、脳内BH4 を減らす薬物のスクリーニングを行う。細胞に種々の薬物を与え、高速液体クロマトグラフィーによってBH4量 を測定する(薬剤としてアセチルコリン阻害剤 、ニコチン性の agonists 、BH4 合成阻害剤、炎症性薬剤および phosphodiesterase type 5 と dihydrofolate reductaseの阻害薬を用いる。) 3) 神経障害性疼痛のラットモデルにBH4 量を減らす薬物のスクリーニングを行う。(薬剤としてアセチルコリン阻害剤 、ニコチン性の agonists 、BH4 合成阻害剤、炎症性薬剤を用いる。)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プロジェクトの実験計画に記載された物品をほぼすべて購入した。その内、多くの部品はメーカーのキャンペーン中または安い価格の時期に購入したので、研究費用の有効利用ができた。また、計画ではいくつかの学会参加費用を申請したが、時間が取れなく予定より参加回数は少なかった 今年度は多くの実験を追加することを計画している。また実験結果を学会で発表することも計画している。論文の掲載料も支払う予定である。研究費をこれらの研究のために有効に使うと考えている。
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Research Products
(3 results)