2012 Fiscal Year Research-status Report
プロポフォールの樹状細胞刺激作用の生体防御、免疫病理への影響
Project/Area Number |
24592338
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤野 裕士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50252672)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 幸子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20276710)
大田 典之 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379162)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 樹状細胞 / プロポフォール / Th1 / 接触過敏症 / インターフェロンγ |
Research Abstract |
臨床に使用される脂質懸濁液の状態のプロポフォールの樹状細胞への作用の検討を行った。プロポフォールは樹状細胞に発現される副刺激分子の発現を増強し、かつインターロイキン12の分泌を亢進させた。これらの樹状細胞への影響が樹状細胞機能に影響しているかをリンパ球と樹状細胞の混合培養法(MLR法)による評価を行った。MLR法によってプロポフォール処理をした樹状細胞はリンパ球の増殖を増加させ、さらにインターフェロンγの分泌を亢進させ、Th-1への分化を促進する結果となった。次にプロポフォールが樹状細胞の性質にあたえる影響の結果として個体レベルでの免疫応答への影響が変わるのかを、樹状細胞の移植によって生じる接触性過敏症のモデルによる評価を行った。ハプテンを取り込ませた樹状細胞を通常マウスに移植することで耳介が腫れるという接触過敏反応が生じるところ、プロポフォールで樹状細胞を処理しておくと免疫応答は変化するかを評価した。接触過敏症モデルを用いた解析ではプロポフォールで処理した樹状細胞は接触過敏反応による耳介の腫れが減少した。接触感敏症モデルは主としてTh1型の免疫応答によって生じると考えられているが、プロポフォールは樹状細胞によるTh1への分化を抑制して接触過敏症の発症を抑制したと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにプロポフォールの樹状細胞への細胞を試験管内での直接作用、試験管内での免疫応答への影響、個体レベルでの免疫応答への影響の3つの視点からの解析するという実験の目標は順調に進んでいる。当初解明を目的としていた範囲の実験は行うことができ結果を得ており予想していた通りの結果を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は樹状細胞に対するプロポフォールの影響を3つの観点から解析する。一つは脂質懸濁液で構成されるプロポフォールのうち脂質懸濁液成分とプロポフォールそのもののいずれが樹状細胞への作用に影響をしているかを明らかにする。二つ目は樹状細胞への作用を樹状細胞の分化成熟過程で重要な分子メカニズムである、MAPK経路とNF-κB経路のいずれに効果を表しているかを評価する。さらに3つ目は樹状細胞の個体レベルでの免疫応答への影響が生体防御と免疫病理的にどのような意義が有るのかを動物個体レベルの実験モデルでの検討によって明らかにすることを今後の目標としている。免疫病理的な意義付けに関しては樹状細胞の移植によって生じる実験的自己免疫性心筋炎の病態にプロポフォールがどのように影響するのかを検討する
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は上述した実験の推進方策のうち前に述べた二つを中心に研究を推進する。すなわち、脂質懸濁液で構成されるプロポフォールのプロポフォール成分と脂質懸濁液成分とにわけてプロポフォール製剤の樹状細胞への影響を解析する。解析は初年度と同様に樹状細胞への直接の影響、試験管内で再構成される免疫応答への影響、樹状細胞によって動物個体レベルで誘導される免疫応答の3つのレベルでの解析を行う。次に樹状細胞の分化成熟過程への影響をMAPK経路とNF-kB経路の二つの経路への影響から解析する。これには樹状細胞よりそれぞれ可溶性タンパク質と核抽出液を調整してしてウエスタン解析によってタンパク質レベルでの解析を行う。さらに実験が順調に進行すればじ年度に行う予定の免疫病理への影響の解析の過程で必ず必要になる、実験的自己免疫性心筋炎モデルの確立の予備的実験を施行する。
|