2012 Fiscal Year Research-status Report
腹部術後早期の起立性低血圧の予測とその予防デバイスの開発
Project/Area Number |
24592341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
北川 博之 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (10403883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 文靖 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (10243841)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 周術期管理学 / 術後起立性低血圧 / 腹部手術 / 先端機能デバイス / 低侵襲性治療システム |
Research Abstract |
腹部手術後の早期離床時に障害となる起立性血圧低下・ふらつきによる転倒のリスクの高い患者を予測し、より安全・スムースな術後早期の離床を可能にする、歩行可能な血圧自動制御型ショックパンツを、三年間の実験的臨床研究により開発することを目標とする。 H24年度は、起立性低血圧発症のリスクファクター評価のための、患者背景および術前後の血圧データの収集、および血圧自動制御型ショックパンツの製作を開始した。 (リスクファクター評価のための、患者背景および術前後の血圧データの収集) 胃癌術後患者161例で、背景、血圧データの収集:患者背景、術前の血圧・脈拍、周術期のデータを記録し、術後翌日の最初の離床時に、臥位から座位、立位、歩行、再臥位に血圧・脈拍を測定し記録した。さらに161例中48例で、術前の臥位、立位の血圧・脈拍を記録した。 (血圧自動制御型ショックパンツの製作) 従来の腹部・脚部一体型の耐Gパンツをそれぞれ別途に圧入力できるものを、製作元の藤倉航装と共同で製作を開始した。さらに、圧入力装置の開発を東京航空計機と開始し、圧迫帯への迅速・安定な圧供給および呼吸による圧迫帯圧変化をバッファーできる装置の開発に着手した。 パンツ圧-血圧応答関数の平均値H2(f)はすでに記述しているので、ステップ状の血圧低下に対する血圧サーボシステムの振る舞いを比例補償係数Kp=0, 1, 2,積分補償係数Ki=0, 0.01, 0.05, 0.1, 0.2の組み合わせでシュミレーションし,Kp = 1, Ki = 0.1で血圧サーボシステムがもっとも安定的かつ迅速に血圧低下を代償することが予測された。 ( H24年度の問題点 ) 起立負荷テストは行えていない。今回の検討で術後起立性低血圧・ふらつきを起こすリスクの高い患者での検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究進行度はおおむね良好である。術後起立性低血圧発症のリスクファクター評価のための、患者背景および術前後の血圧データの収集は十分な症例数が蓄積されており、また、血圧自動制御型ショックパンツの製作も開始されている。しかし、起立負荷テストによる圧受容器機能の解析が開始されておらず、背景データ解析より得られた、高リスク群での解析から開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 平成24年度に開始した、起立性低血圧発症のリスクファクター・病態の評価のためのデータを解析し、起立性低血圧のリスクを評価する。 2) 起立負荷テストによる圧受容器機能の解析をする:術前に起立負荷検査を行い血圧(トノメトリ法)・心拍波形より変動性を解析する。通常の起立負荷に加え、ランダム起立負荷による血圧変動を、これまでの研究での薬物的自律神経遮断状態の血圧変動と比較することにより、患者の圧受容器反射の動特性を評価できる。同時に液性因子(血中カテコラミン等)を静脈採血より計測する。 3) 血圧自動制御型ショックパンツの製作を継続する。特に制御装置の開発に重点を置き、非連続血圧で作動するための血圧測定装置の開発も開始する。 連携協力者として佐藤隆幸医師(循環制御学)、有川幹彦助教(循環制御学)が血圧自動制御型ショックパンツの製作に協力し、研究協力者として秋森豊一医師(幡多けんみん病院、外科)、が対象患者のリクルート・フォローに協力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費として、耐Gパンツ(特注品)、波形解析ソフト、液性因子解析費用を計上する。人件費・謝金として、前年と同様、研究補助員を1名確保するための経費を計上する。また、他施設への調査研究費を計上する。
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