2013 Fiscal Year Research-status Report
腹部術後早期の起立性低血圧の予測とその予防デバイスの開発
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24592341
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
北川 博之 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (10403883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 文靖 高知大学, 医歯学系, 講師 (10243841)
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Keywords | 周術期管理学 / 術後起立性低血圧 / 腹部手術 / 先端機能デバイス / 低侵襲性治療システム |
Research Abstract |
腹部手術後の早期離床時に障害となる起立性血圧低下・ふらつきによる転倒のリスクの高い患者を予測し、より安全・スムースな術後早期の離床を可能にする、歩行可能な血圧自動制御型ショックパンツを、三年間の実験的臨床研究により開発することを目標とする。 H25年度は、H24年度の患者背景データを基に、起立性低血圧発症のリスクファクター評価を行い、血圧自動制御型ショックパンツの製作における共同開発を開始した。 方法:1)術後起立性低血圧リスク因子評価:胃癌術後患者161例で検討した。 2) 血圧自動制御型ショックパンツの開発:従来の腹部・脚部一体型の耐Gパンツをそれぞれ別途に圧入力できるものを、製作元の藤倉航装と共同で製作を開始した。さらに、圧入力装置の開発を東京航空計機と開始し、圧迫帯への迅速・安定な圧供給および呼吸による圧迫帯圧変化をバッファーできる装置の開発に着手した。 結果:1) 術後早期離床時の収縮期血圧低下は腹腔鏡手術で開腹術に比して有意に少なく(-5±17mmHg vs.-15±21mmHg, p<0.01 )、20mmHg以上低下する症例は神経疾患に関する薬物を内服している患者で有意に多かった(71% vs. 30%, p<0.05)。また、術前の血圧低下度と有意に相関を認めた(r=0.34, p<0.05)。ふらつきを認める症例では、年齢が高く、立位時の拡張期血圧が低く、立位時の収縮期および拡張期血圧の低下度が大きかった。また、カルシウム拮抗薬、αブロッカー内服、立位時の20mmHg以上の収縮期血圧低下、Y法での再建術で有意にふらつきが多かった。2) 改変耐Gパンツのプロトタイプは完成しつつある。気のうの形状と装着仕様を改変した。意識下での呼吸による腹部の形状変化は短時間に圧迫帯内圧を上昇させ、吸気時の呼吸苦を増悪させるため、呼吸変動による圧迫帯内圧をバッファすることができる圧制御装置を開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究進行度はおおむね良好である。術後起立性低血圧発症のリスクファクター評価は終了し、血圧自動制御型ショックパンツの製作も継続している。しかし、起立負荷テストによる圧受容器機能の解析が開始されておらず、背景データ解析より得られた、高リスク群での解析から開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 平成24-25年度に終了した起立性低血圧発症の高リスク群で起立負荷テストによる圧受容器機能の解析をする:術前に起立負荷検査を行い血圧(トノメトリ法)・心拍波形より変動性を解析する。通常の起立負荷に加え、ランダム起立負荷による血圧変動を、これまでの研究での薬物的自律神経遮断状態の血圧変動と比較することにより、患者の圧受容器反射の動特性を評価できる。同時に液性因子(血中カテコラミン等)を静脈採血より計測する。 2) 血圧自動制御型ショックパンツの製作を継続する。特に制御装置の開発に重点を置き、非連続血圧で作動するための血圧測定装置の開発も開始する。 連携協力者として山崎文靖(検査部非常勤講師)、佐藤隆幸医師(循環制御学)、有川幹彦助教(循環制御学)が血圧自動制御型ショックパンツの製作に協力し、研究協力者として秋森豊一医師(幡多けんみん病院、外科)、が対象患者のリクルート・フォローに協力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
起立負荷検査が遅れたため、および、血圧自動制御型ショックパンツの製作費用が少なかったため。 消耗品費として、液性因子解析費用、チューブコネクタ類、データ保存用メディアを計上する。人件費・謝金として、前年と同様、研究補助員を1名確保するための経費を計上する。また、研究成果発表の旅費、論文投稿費用を計上する。
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Research Products
(6 results)