2013 Fiscal Year Research-status Report
全身性炎症反応による心筋障害に対して硫化水素は保護的に働くか?
Project/Area Number |
24592342
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神田橋 忠 九州大学, 大学病院, 助教 (10335961)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 賢太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (10419567)
|
Keywords | 硫化水素 / 全身性炎症 |
Research Abstract |
本研究の目的は、エンドトキシン(LPS)誘発性全身性炎症によって生じる心筋障害に対して、硫化水素が保護効果を発揮するのか、その作用メカニズムを生体および分子レベルで解明する事である。この目的を達成するために、本年度は昨年度達成する事のできなかった、①全身性炎症反応の誘導を行うための条件検討、に加えて②全身性炎症反応が心筋における硫化水素濃度に与える影響の評価、について研究を進める予定であった。 平成25年度は上記①全身性炎症反応の誘導を行うための条件検討を引き続き行ったが、適切な条件を見いだす事ができなかった。この理由に関しては多因子であると推測されるが、使用する試薬、特に生物製剤であるLPSのロットの違いが一つには大きな違いとなりうる。今後、この点を解決するために、使用する薬剤のロットも考慮する必要がある。また、今後の検討課題として、硫化水素吸入を行うための設備がいまだ整備されておらず、また様々な規制により実現が難しい事が判明した。そのため、海外共同研究者のもとで吸入実験を行うか、あるいは硫化水素ガスの吸入ではなく硫化水素供与体の投与により硫化水素の保護効果を見いだす必要があり、その条件検討も必要である。また当初計画していたin vivoの実験系の構築よりもin vitroの実験系の構築を優先させる事が、最終目標である硫化水素の心筋保護作用に関するメカニズムの解明のためには必要ではないかと考える。 なお、本研究に関連して、対象となる臓器は異なるものの、全身性炎症反応がその誘因の一つとなりうる急性肝不全における硫化水素の肝保護作用に関して、新たな知見を得る事ができ、いくつかの学会でその成果を発表する事ができた。この結果を本研究の条件検討に役立てる事ができる可能性があると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、全身性炎症反応の誘導を行うための条件検討を引き続き行ったが、適切な条件を見いだす事ができなかった。この理由に関しては多因子であると推測されるが、使用する試薬、特に生物製剤であるLPSのロットの違いが一つには大きな違いとなりうる。今後、この点を解決するために、使用する薬剤のロットも考慮する必要がある。また、今後の検討課題として、硫化水素吸入を行うための設備がいまだ整備されておらず、また様々な規制により実現が難しい事が判明した。そのため、海外共同研究者のもとで吸入実験を行うか、あるいは硫化水素ガスの吸入ではなく硫化水素供与体の投与により硫化水素の保護効果を見いだす必要があり、その条件検討も必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画していたin vivoの実験系の構築よりもin vitroの実験系の構築を優先させる事が、最終目標である硫化水素の心筋保護作用に関するメカニスティックな解明のためには必要ではないかと考える。当初の研究計画で平成26年度に予定していた、ラット心筋由来H9C2細胞を用いて、全身性炎症反応に伴う心筋障害に対する硫化水素の保護効果を検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、必要物品に関しては前年度までに購入したものでまかなう事が可能であった。そのため物品費は使用しなかった。 平成26年度は消耗品の購入、とくに生化学的定量のためのアッセイキットなど高価なものを多数購入予定である。 平成26年度は消耗品の購入、とくに生化学的定量のためのアッセイキットなど高価なものを多数購入予定である。冷却遠心機の購入も計画している。 また得られる予定の知見は国内外の学会で発表する予定であり、そのための旅費も計上している。
|