2012 Fiscal Year Research-status Report
ブタ希釈性凝固障害モデルにおけるROTEMガイド下凝固管理法の開発
Project/Area Number |
24592344
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
前川 拓治 長崎大学, 大学病院, 講師 (10336167)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究では、ブタの血液希釈性凝固障害モデルを用いて、濃縮凝固因子製剤:①プロトロンビン複合体(Prothrombin Complex Concentrate: PCC)及び②フィブリノーゲン濃縮製剤(Fibrinogen Concentrate: FC)併用療法の止血能に対する効果を確認し、従来の新鮮凍結血漿(Fresh flozen plazma: FFP)補充療法と比較する。また、凝固系モニタリングとして、ROTEM(EXTEM及びFIBTEM)を用い、従来のPT、APTT、Fibモニタリング法と比較して以下の利点があることを証明する。 1)FFPと比較して、PCC・FC併用療法が有用(止血能、循環動態、血液希釈度) 2)ROTEMによりPCC・FCの必要量を決定できること(投与量節減) 3)ROTEMにより血栓性合併症の発生率が減少すること これらの結果は、その後の大規模RCTの基礎となりうるものと考える。希釈性凝固障害に対する凝固因子製剤投与法を確立することは、迅速かつ確実な凝固系の制御を可能とするだけでなく、現状のFFP補充療法に伴う容量負荷や更なる血液希釈、異型輸血のリスク、アレルギー反応、免疫学的合併症を回避することができ、周術期管理に大きく寄与するものと考えられる。 平成24年度は、まず、in vitroにおいて、5%アルブミン製剤による希釈性凝固障害における凝固因子製剤添加の影響をROTEMの各パラメータを用いて調べ、検討した。この研究から、凝固因子製剤の補充は活性値66%レベルで十分な可能性が示唆された。引き続き、上記ブタ血液希釈性凝固障害モデルを作成し、コントロール群(従来のモニタリング下及びROTEMガイド下で生理食塩水投与の影響を調べる。)について測定を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の当初の研究計画は、ブタの血液希釈性凝固障害モデルを作成し、以下の2群について検討することであった。 ①コントロール群(従来モニタリング及びROTEMモニタリングを行う):対照薬(生食)投与 ②C-FFP群:従来モニタリング下、FFP投与 現在、研究の進捗状況は予定よりやや遅れているが、この理由は研究実績の欄で述べたとおり、まず、in vitroモデルで凝固因子製剤の必要量を確認したことで当該年度の研究期間の約半分を費やしたことにある。しかしながら、その後のプロトコールをスムーズに運ぶために重要な基礎データ収集であったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、コントロール群の測定に引き続き、以下の4群について測定を行う。 C-FFP群:従来モニタリング下FFP投与、R-FFP群:ROTEMガイド下FFP投与、C-PCC+FC群:従来モニタリング下PCC及びFC投与、R-PCC+FC群:ROTEMガイド下PCC及びFC投与
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用については、平成24年度は、研究対象であるブタの購入・飼育費用、ROTEMの消耗品が主であったが、次年度はこれに加え、濃縮凝固因子製剤の購入が必要となる。また、平成24年度は、in vitroでの研究を行ったため(ブタの購入頭数が少なかった)、当初の研究費使用計画に残余が生じた。次年度以降は、ブタを使用頭数が増えること、高価な濃縮凝固因子製剤を購入が必要であることから、平成24年度より研究費の使用が増加することが予測される。これに対して、平成24年度の残余分も含め、計画的に進めていく予定である。また、平成24年度に行ったin vitroの研究は凝固因子製剤の必要最小量を滴定する目的であり、今後の研究費の適切な使用に反映されるものと考える。
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Research Products
(1 results)