2013 Fiscal Year Research-status Report
組織スペクトロメトリーによる非侵襲的酸素需給バランスの評価
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24592361
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小竹 良文 東邦大学, 医学部, 教授 (70195733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 亮一 東邦大学, 医学部, 教授 (70146695)
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Keywords | 多波長パルスオキシメーター / 近赤外線組織スペクトロスコピー / 脈波 / 酸素需給バランス |
Research Abstract |
平成25年度は以下の3項目を重点的に遂行した。 1. 4波長オキシメーターを用いた非侵襲的ヘモグロビン濃度測定の精度評価。オキシメーター技術を応用した非侵襲的連続的ヘモグロビン濃度測定装置の臨床試用を行い、その臨床応用可能性を検証した。手術患者を対象として検証した結果、CO-オキシメーターによるヘモグロビン濃度および酸素飽和度を対照としてその測定精度およびトレンド追従能を検証した結果、いずれの評価項目に関しても採血による測定値との誤差が臨床的に許容しうる範囲を超えていることが明らかになり、非侵襲的、連続的ヘモグロビン測定の実用化にはさらなる技術的革新が必要であることが明らかとなった。 2. 近赤外線スペクトロフォトメトリーを用いた混合静脈血酸素飽和度の非侵襲的推定技術の評価。全身レベルでの酸素需給バランスを評価する指標である混合静脈血酸素飽和度を、中心静脈カテーテルを試用することなく評価しうるかどうかについて手術症例を対象として検証した。結果として近赤外線スペクトロフォトメトリーで得られる組織酸素飽和度と混合静脈血酸素飽和度の間には弱い相関が認められ、本研究における仮説の妥当性はある程度検証できた。但し、その推定精度に関してはさらなる改善が必要であることも明らかとなった。 3. 脈波シグナルによる酸素供給量の連続的、非侵襲的評価。パルスオキシメーターから得られる脈波シグナルと収縮期、平均、拡張期血圧および心拍出量の関係式を確立することを目的とし、手術症例を対象としてデータを集積中である。直接経費で購入した経食道エコー装置は心拍出量定量のために使用中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要において述べた3項目のうち、1. 4波長オキシメーターを用いた非侵襲的ヘモグロビン濃度測定の精度評価については英文学術誌に投稿のうえ、掲載が確定している。2. 近赤外線スペクトロフォトメトリーを用いた混合静脈血酸素飽和度の非侵襲的推定技術の評価に関しては国内および国際的学術集会において発表済みである。3. 脈波シグナルによる酸素供給量の連続的、非侵襲的評価に関しては現在データ集積中であり、プレリミナリーデータを2014年度国際学会で発表予定である。 これらの点から本年度の達成度は概ね順調に伸展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績で述べた1. 4波長オキシメーターを用いた非侵襲的ヘモグロビン濃度測定の精度評価に関しては成果の論文化をもって終了とする予定である。一方、 2. 近赤外線スペクトロフォトメトリーを用いた混合静脈血酸素飽和度の非侵襲的推定技術の評価に関しては、データ収集を継続するとともに、結果の解釈に際して、ヘモグロビン濃度、静脈血酸素飽和度などの組織酸素飽和度以外の因子を合わせて評価することによってさらなる推定精度の向上が可能かどうか、について検証する予定としたい。3. 脈波シグナルによる酸素供給量の連続的、非侵襲的評価に関してはさらに症例の集積を進め、研究最終年度中の論文投稿を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画のうち、多波長パルスオキシメーターによる非侵襲連続的ヘモグロビン濃度測定に関する部分が当初の目的を達成したため、余剰分を次年度に繰り越すこととした。 最終年度の補助金は、今後の研究方策で記述した「近赤外線スペクトロフォトメトリーを用いた混合静脈血酸素飽和度の非侵襲的推定技術の評価」に関する研究の遂行に必要な消耗品の購入およびデータ処理に必要なソフトウェアの購入、論文投稿、出版に必要な経費に充当する予定である。
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