2012 Fiscal Year Research-status Report
癌性骨痛を制御する因子の同定とその機能的役割の解明
Project/Area Number |
24592363
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
中西 雅子 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60437382)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨転移 / 癌性疼痛 / 動物モデル |
Research Abstract |
骨は癌性疼痛を引き起こす部位として最も頻度が高く、激しい痛みは患者の日常生活を制限しQOLの低下を招くことから、疼痛のコントロールは疼痛治療において非常に重要である。本研究では、骨転移によりもたらされる疼痛関連分子の動態を明らかにし、癌性骨痛の発生メカニズムの解明を目指す。 まず、骨転移により制御される疼痛関連分子の同定を目的とし、ラット骨転移モデルを用いた遺伝子発現解析を行った。F344ラット由来の肺癌細胞株を同系動物の脛骨骨髄内に直接接種し、骨転移モデルとした。反対側には、コントロールとしてPBSを注入した。腫瘍増殖ならびに骨融解に伴い、ラットは疼痛行動を示すことが確認された。そこで後肢を支配する脊髄神経の後根神経節(DRG)からmRNAを抽出し、遺伝子発現解析を行った。骨転移により発現が増加する候補遺伝子をいくつか選定し、リアルタイムPCR法を行ったところ、有意な増加が確認できた。今後は培養神経細胞を用いた検討を行う予定である。神経様細胞株F11においても、上記の候補遺伝子の発現が確認できた。したがって、この次には候補分子の添加実験ならびに過剰発現系を作製し、神経細胞の機能変化について検討を進める予定である。 また、申請者はこれまでの研究において、骨転移巣は「酸性環境」を形成することを明らかにしている。酸感受性受容体であるTRPV1と疼痛との関連性については報告がなされているが、その他の分子についてはあまり検討がなされていない。そこで、プロトン感知性GPCRに着目し、DRGでの発現を検討したところ、いくつかの分子において発現が認められた。神経細胞におけるプロトン感知性GPCRの役割についてはこれまでに報告が少なく、その機能の解明は新たな知見になる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の計画目標であった疼痛関連分子の同定に関しては、いくつかの候補遺伝子が挙げられ、それらの発現変化についても確認できた。しかし、病態の伸展と遺伝子発現の経時的な関連性については検討できていないので、平成25年度に並行して実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究において挙げられた疼痛関連分子について、培養神経細胞を用いた検討を行う。 1) ラット骨転移モデルから経時的に神経節サンプルを採取し、遺伝子の発現についてリアルタイムPCRにて検討する。 2) 神経様細胞株F11に遺伝子を過剰発現させ、CREBやc-fosなどの神経活動の指標となる転写因子の発現や、リン酸化について、免疫染色およびウエスタンブロット法により検討する。 3) 神経細胞において発現が確認された酸感知性GPCRについて、F11を用いた安定発現株を作製し、酸性環境による細胞内シグナルの変化について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の未使用額(9,714円)は、平成25年度の研究費とともに、動物モデルの経時的なサンプル作製に充てる。次年度の研究費は試薬類や実験動物などの物品費が主体であるが、進捗状況に応じて論文作製を行い、その投稿費用とする。
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Research Products
(1 results)