2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛における多価不飽和脂肪酸の役割とその受容体を介した新規疼痛制御機構の解明
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24592364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
中本 賀寿夫 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (30432636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳山 尚吾 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70225358)
糟谷 史代 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (80131522)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | GPR40 / 抗侵害作用 / 侵害 |
Research Abstract |
1. 慢性疼痛時における多価不飽和脂肪酸受容体 GPR40 の蛋白質発現変化とその局在性について:Complete Freuind ajuvand (CFA) 投与直後から、機械的および熱的刺激に対する疼痛過敏反応が認められた。このマウスを用いて GPR40 蛋白質発現を検討したところ、saline 群と比較して CFA 投与 7 日後の視床下部および延髄領域において、一過性に発現が増加し、中脳においても増加傾向を示した。 2. アストロサイト、ミクログリアおよび神経細胞における GPR40 の局在解析: アストロサイト、ミクログリアおよび神経細胞と GPR 40 の局在解析を二重蛍光免疫組織染色法により検討したところ、GPR40 は神経細胞のマーカーである NeuN と共局在し、アストロサイトおよびミクログリアマーカーである GFAP や CD11b とは局在が認められなかった。 3. 慢性疼痛モデル動物に対する GPR40 のアゴニスト投与の影響: CFA 投与 7 日目におけるマウスに対して、GPR40 アゴニストの DHA および GW9508 は脳室内投与 10 分後から saline 投与群と比較して、有意に機械的アロディニアを抑制し, 30 分後までその作用は持続した。一方、GPR40 のアンタゴニストである GW1100 の処置によって、これらの抗アロディニア作用は阻害された。これまでの検討において、GPR40 の蛋白質発現は CFA 投与 1 日目ではなく、7 日目においてのみ一過性に発現が増加することから、GPR40 を介した抗アロディニア作用は、GPR40 の蛋白質発現に依存的である可能性が示された。 以上より、脳内 GPR40 を介して疼痛を制御している可能性が示唆され、GPR40 アゴニストは炎症性疼痛に対して有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
問題なく、当初の計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.GPR40 ノックダウンマウスにおける疼痛行動の変容について マウス脳室内あるいは脊髄腔内投与に GPR40 の siRNA を投与し、GPR40 のノックダウンマウスを作製する。In vivo 系で GPR40 の機能を抑制した場合、疼痛行動にどのような影響があるか行動薬理学的手法を用いて解析する。具体的には、これらのノックダウンマウスの坐骨神経を部分結紮させ、その後の疼痛過敏反応を行動薬理学的手法を用いて、経時的に観察する。同様に、炎症性疼痛モデルマウスを作製し、検討を行う。さらに、急性疼痛に対する評価を行う。熱的刺激に伴う痛みには tail flick 試験や plantar 試験、化学刺激に伴う痛みにはホルマリン試験、機械的な刺激に対しては von Frey 試験 を用いて検討を行う。 2.慢性疼痛時における脳内および脊髄の各種脂肪酸組成変化の解析 神経障害性疼痛および炎症性疼痛モデルマウスを用いて、脳および脊髄内の遊離脂肪酸組成変化についてガスクロマトグラフィーを用いて検討を行なう。具体的には、疼痛形成前、疼痛初期、疼痛維持期の3つの段階に分けて脳および脊髄の脂肪酸組成変化をガスクロマトグラフィー(GC)にて解析する。脳領域は、前年度の研究で変化が認められている視床下部、延髄および中脳について解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費160万円に関しては、物品消耗品として135万円程度をクリオスタット購入のための分担金として、残りの15万円は消耗品に、10万円は学会発表のための交通費に充当する予定である。
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Research Products
(11 results)