2013 Fiscal Year Research-status Report
侵襲時におけるヒドロキシエチルデンプン製剤の血管内皮糖鎖構造の保護効果
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24592365
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
多田羅 恒雄 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30207039)
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Keywords | ヒドロキシエチルデンプン / ゲル / 代用血漿製剤 |
Research Abstract |
【代用血漿製剤がヒアルロン酸ゲル構造に及ぼす影響】 分子量の異なる2%ヒドロキシエチルデンプン製剤(HES 70, HES 130, HES 200)が、高分子ゲル構造変化に及ぼす影響を検討した。1%ヒアルロン酸ゲル0.1 gを用い、ゲル上にブルーデキストランを含んだ2%ヒドロキシエチルデンプン製剤を10 mL/hの速度で3時間灌流した(n = 5)。ヒアルロン酸ゲルが崩壊するとゲル孔が大きくなるため、ブルーデキストランはゲル内に徐々に浸透する。ブルーデキストランが浸透したゲル内の箇所は青く染まるため、青く染まっていない部分の面積を測定することにより、ゲルの残存度を経時的に測定することができる。<結果>いずれのヒドロキシエチルデンプン製剤においても、ゲルの残存度は経時的に減少した。しかし、その程度はヒドロキシエチルデンプンの分子量に依存し、1および2時間後ではHES 200 > HES 70, HES 130であった(P < 0.001)。2時間後ではHES 130 > HES 70(P < 0.001), 3時間後ではHES 130,HES 200 > HES 70(P < 0.001)であった。<考察>ヒドロキシエチルデンプンの分子量が大きいほどヒアルロン酸ゲルの崩壊が進行したことは、ヒドロキシエチルデンプン分子がヒアルロン酸ゲルの網目に浸透することによりヒアルロン酸ゲルの構造を弱めたことを示唆する。同様の現象が血管内皮細胞のglycocalyxにおいても生じる可能性があり、ヒドロキシエチルデンプンがゲル構造におよぼす影響はヒドロキシエチルデンプンの血漿増量効果を規定する重要な因子と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたヒドロキシエチルデンプン製剤が高分子ゲル構造におよぼす影響を調べることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、高分子ゲルが酵素により変性した際にヒドロキシエチルデンプン(HES)製剤が高分子ゲル構造におよぼす影響をゲルからの色素放出速度を測定することにより調べる予定である。さらにHESが細胞外基質を分解するタンパク分解酵素であるmatrix metalloproteinaseの活性に及ぼす影響をBiotrak activity assay syetem を用いて検討する。具体的には、リコンビナートのmatrix metalloproteinaseをp-aminophenylmercuric acetateによって活性化し、HESを含んだアッセイ緩衝液におけるmatrix metalloproteinase活性を測定し、コントロール(HES非添加)の活性と比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の若干の変更のため、わずかな残金が生じた。 高分子ゲルが酵素により変性した際にヒドロキシエチルデンプン製剤が高分子ゲル構造におよぼす影響をゲルからの色素放出速度により調べるための注入ポンプを購入する予定である。
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Research Products
(6 results)