2014 Fiscal Year Annual Research Report
侵襲時におけるヒドロキシエチルデンプン製剤の血管内皮糖鎖構造の保護効果
Project/Area Number |
24592365
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
多田羅 恒雄 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30207039)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 代用血漿製剤 / 血漿増量効果 / 手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
【手術中のヒドロキシエチルデンプン(HES)製剤投与が心臓の1回拍出量変化に及ぼす影響】 HES製剤の血漿増量効果は常に一定ではなく、投与前の循環血液量に依存することが知られている。大手術中は出血などにより循環血液量が大きく変化するため、HES製剤の血漿増量効果および心臓前負荷への影響は一定でないと予想される。そこで、開腹消化管手術患者を対象とし、三つの循環パラメータ、つまりHES製剤投与前の心臓前負荷(1回拍出量変化量、stroke volume variation, SVV)、投与後のSVV変化、投与後の1回拍出量変化間の関係を主成分分析法により解析した。手術開始後、HES製剤8 mL/kgを30分間で投与し、投与前のSVV、投与後のSVV変化、投与後の1回拍出量変化を測定した。輸液反応性を1回拍出量の10%以上の増加と定義した。<結果>83名の患者が対象となった。投与前のSVVは、輸液反応性の有意な予測因子ではなかった(AUC=0.54)。主成分分析法では、投与後のSVV変化は、第一主成分に大きく寄与したのに対し(loading=0.93)、第二主成分にはほとんど寄与しなかった(loading=0.008)。第一主成分は、投与前のSVV、投与後のSVV変化、投与後の1回拍出量変化のばらつきの60%を説明した。<考察>開腹消化管手術では、HES製剤投与による1回拍出量変化は投与前の心臓前負荷により予測できなかった。一方、投与後のSVV変化が最も大きく寄与した第一主成分が、投与前のSVV、投与後のSVV変化、投与後の1回拍出量変化のばらつきの多くを説明した。この結果は、HES製剤投与後の心臓前負荷の増加は一定ではないため、輸液反応性を評価する際にはHES製剤投与後の心臓前負荷の変化を考慮する必要があることを示している。
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Research Products
(10 results)