2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592366
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
花崎 元彦 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (60379790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 義彦 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (00287848)
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Keywords | 虚血再潅流傷害 / 肺 / 肺移植 |
Research Abstract |
1. 前年度に、Wistarラットを用いて全身麻酔、人工呼吸下に開胸手術を行い、左肺虚血モデルを作成する手技を確立した。これにより呼吸、循環、体温などの生体条件を安定させた状態で虚血、再潅流を行うことができるようなった。この手技を用いて虚血、再潅流をそれぞれ1時間としたのちに左主気管支から肺を摘出した。凍結保存した肺組織を用いてウェスタンブロット法を行い、低分子量G蛋白RhoAおよび、Rho関連キナーゼ(ROCK)、内因性のミオシン軽鎖ホスファターゼ阻害蛋白質CPI17の発現レベルが、対照群(開胸手術のみ施行)より増加していることを確認した。(米国麻酔学会での発表、及び論文執筆を準備中)。 2. 1.と同様のプロトコルで虚血、再潅流を行った左肺の組織と、対照群をそれぞれRNA解析し、虚血再潅流傷害に関与しているマイクロRNAの同定を行う手技を確立した。 (現在、RNA解析結果を検討中である) 3. 1.および2.と同様のプロトコルで、実験開始時から吸入麻酔薬セボフルランを投与した。これにより、セボフルランの臓器保護作用が、虚血再潅流傷害にも及ぼされているかどうかをウェスタンブロット法およびRNA解析の両面から考察した。 (現在、RNA解析結果を検討中である)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 前年度に確立した方法を用いて、Wistarラットの肺虚血再潅流傷害モデル作成を安定した状態で行うことができた。 2. 開胸手術により虚血再潅流後の肺組織を採取し、対照群とともにウェスタンブロット法を行って、RhoAおよびRho関連キナーゼ、CPI17の発現レベル増加を確認できた。 3. さらに、採取した肺組織をもちいて虚血再潅流傷害に関連する遺伝子を見つけ出すためのマイクロRNA解析を行うことができた。 4. 吸入麻酔薬セボフルランが肺虚血再潅流傷害に及ぼす影響について調べるための実験系を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Wistarラットの肺虚血再潅流傷害モデルから、虚血及び再潅流時間、維持体温など、様々な条件を変えた上で肺凍結標本を得て、ウェスタンブロット法によりRhoA、ROCK、CPI17の発現レベル変化を調べる。 2. 1. のプロトコルに選択的ROCK阻害薬を付加し、肺虚血再潅流傷害への抑制効果を確認する。 3. 1. のプロトコルに吸入麻酔薬セボフルラン、静脈麻酔薬プロポフォールを付加し、肺虚血再潅流傷害への抑制効果(とくに吸入麻酔薬の臓器保護作用との関連)を確認する。 4. 1~3で得られた肺組織を用いてマイクロRNA同定を行い、肺虚血再潅流傷害のメカニズム解明、およびその制御法の確立を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロDNA同定に必要なRNA解析の費用が一検体につき約10万円と高額であり、また一度に扱える検体数が少ないことを考慮し、当該年度(平成25年度) では検体の確保を優先した。より精度の高い結果を得るために、確実な手技で得られた限られた検体のみを用いることが重要なためである。 1. 肺虚血再潅流傷害モデルから得られる肺凍結標本から行うウェスタンブロットの消耗品(試薬、抗体)に用いる。 2. 同じく肺凍結標本からマイクロRNA同定を行うために用いる。3.平成26年度は実験条件を変えたり、選択的ROCK阻害薬や麻酔薬の付加による影響を調べるため多くの検体が得られる予定であり、これらのウェスタンブロットやマイクロRNA同定に使用する。
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