2014 Fiscal Year Annual Research Report
経食道脊髄超音波検査と遅延型脊髄虚血の発症について
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24592368
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
渡邉 誠之 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10201196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 康典 久留米大学, 医学部, 准教授 (30258470)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血小板凝集能 / 遅発型脊髄虚血 / フルルビプロフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
遅延型脊髄虚血を予防するための抗血小板療法の開発として全身麻酔下でフルルビプロフェンを静脈内投与の血小板活性化および血小板凝集塊の育成についての影響を調べた。 【対象・方法】全身麻酔下の成人予定手術患者7例(ASA 1, 2)を対象とし、抗血小板・抗凝固療法中の患者は除外した。出血コントロール後にフルルビプロフェン(F)50 mgを静脈内投与した。F投与直前と投与から15分後に採血を行い、PA200を用いて7分間血小板凝集能を測定した。惹起物質はコラーゲン(最終濃度2ug/mL)とし、血小板凝集塊(小・中・大)のシグナル強度と、透過度(%)を経時的に測定した。【結果】7例でF投与前後における血算、凝固系検査所見に有意差はなかった。F投与前の透過度は73.5±13.5 (76)%に対し、F投与後は30.3±16.4(27.5)%で、透過度は有意に低下した。小凝集塊はF投与前が11.4±2.6×106(10.6×106)、F投与後は15.3±5.3×106 (15.6×106)と増加傾向にあり、大凝集塊はF投与前が12.6±4.6×106(14.4×106)、F投与後は1.9±1.6×106(1.6×106)で、有意に減少した。【考察】透過度の低下は血小板凝集能が抑制されたことを示し、その原因に凝集塊のサイズが十分に増大されない可能性が示唆された。フルルビプロフェンはCOX1選択性が高いと報告され、本研究ではこの作用により血小板凝集は抑制したと考えられた。【結論】全身麻酔下でのフルルビプロフェン静脈内投与は出血に関与する小血小板凝集塊の育成には影響を与えず、血管閉塞を来すような血小板大凝集塊への育成を抑制した。術後遅延型脊髄虚血の発症原因の一つと考えられる血管内血小板凝集及び凝集塊の増大を抑制するため遅延型脊髄虚血を予防に有用である可能性が示唆された。
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