2012 Fiscal Year Research-status Report
長鎖脂肪酸による前立腺癌進展の機序解明-パルミチン酸とMIC-1の関連-
Project/Area Number |
24592374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
黄 明国 秋田大学, 学内共同利用施設等, 助教 (60448503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 伸太郎 秋田大学, 医学部, 講師 (40396552)
土谷 順彦 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70282176)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / MIC-1 |
Research Abstract |
我々は、初めて長鎖脂肪酸パルミチン(PA)刺激で前立腺癌細胞 LNCaP, PC-3、DU145でのMIC-1の遺伝子発現の亢進を確認し、さらにPA刺激でPC-3, DU145細胞内と細胞培養液中のMIC-1の産生が亢進することを確認した。LNCaP xenograft解析では、高脂肪食(HFD)摂取群では低脂肪食群(LFD)より癌の大きさ ((2569.9 ± 151.1 vs 2010.3 ± 120.7 mm3, p = 0.025)、癌組織中の脂肪酸量(172.2 ± 43.9 vs 119.6 ± 17.8 nMol/mg, p < 0.001)、血清中のMIC-1濃度(24155.2 ± 4281.6 vs 18343.8 ± 7019.9 pg/mL, p = 0.012)は有意に高く、さらに血清MIC-1は癌の大きさと相関していた(r = 0.642, p = 0.022)。マウス血清を用いた細胞増殖アッセイでは、HFD群はコントロ―ル群より有意にLNCaP, C4-2細胞の増殖と浸潤を促進し、リコンビナントMIC-1(rMIC-1)も同様に前立腺癌細胞の増殖と浸潤を促進した。さらに、HFD血清、rMIC-1によってERKシグナルが活性化されることを確認している。健常者54人と前立腺癌患者168人の血清MIC-1を比較では、前立腺癌患者血清MIC-1は健常者に比べて有意に高く(1154.2 ± 889.9 vs 784.0 ± 299.6 pg/mL, p = 0.002)、前立腺癌患者血清MIC-1は、Gleason score (GS)が高くなるにつれて有意に高く(p < 0.01)、患者の肥満度と関連している可能性が示唆された(p = 0.087)。以上の結果より、MIC-1は高脂肪食や肥満による前立腺癌進展に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今までの研究で以下のことを明らかにした。 1. 長鎖脂肪酸パルミチンは前立腺癌細胞のMIC-1の発現と産生を促進した。 2.高脂肪食摂取LNCaP Xenograft では、癌組織、血清中のMIC-1の発現は有意に亢進し、ERKシグナルを亢進させ、前立腺癌の増殖と浸潤を促進していた。 3.前立腺癌患者血清MIC-1は、前立腺癌のPathological Grade, 肥満度と関連していた。
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Strategy for Future Research Activity |
私達はこれまで、MIC-1がパルミチン酸によって発現、産生が亢進し、前立腺癌細胞の増殖と浸潤を促進する可能性があることを明らかにした。 今後はさらにパルミチン酸による前立腺癌進展がMIC-1 依存性に起こっているかを動物モデルで検証し、またその機序に関与する下流シグナルの同定を行う。これらの結果から前立腺癌との関連が確認されたら、動物モデルを用いてこれらの再確認とまた経路阻害薬で癌増殖、進展抑制が可能かどうか検討する。さらに高脂肪食によって、パルミチン酸関連酵素であるFASN発現の変化が生じる可能性と意義について研究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
パルミチン酸によるMIC-1発現と産生の役割と意義に加えて、パルミチン酸関連酵素であるFASNの発現の変化と役割についても検討を行った。高脂肪食によってMIC-1の他にFASNの発現の変化が前立腺癌の進展に重要である可能性があるため、その可能性についても予備実験を行った。 次年度には以下のように研究を行う。 1.前立腺癌動物モデルの作成と高脂肪、高パルミチン酸食による進展のメカニズムの解析 2.前立腺癌患者全摘サンプルを用いてMIC-1の機能解析 3.高脂肪食による前立腺癌細胞におけるパルミチン酸関連酵素FASNの発現の変化とその役割の検討
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Research Products
(2 results)