2013 Fiscal Year Research-status Report
難治性精巣腫瘍におけるCyclin/Rb経路の活性化の意義とその制御機構
Project/Area Number |
24592376
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
末富 崇弘 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10574650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 淳 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10550246)
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
小島 崇宏 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40626892)
島居 徹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80235613)
河合 弘二 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90272195)
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Keywords | 精巣腫瘍 |
Research Abstract |
セミノーマは胚細胞腫の前駆病変であり最も未分化とされ、そこから胎児性癌を介してその他の組織型に分化していくと考えられている。近年のepigeneticsの研究から、セミノーマではDNAが高度に脱メチル化されており、胎児性癌になるとDNMT3L(DNA methyltransferase 3-like)蛋白が特異的に発現することが報告されている。最近我々は、血清AFPが高値を示す単一型セミノーマの症例を経験し、まず予備実験として免疫組織化学染色を行ったところ、各種マーカーの発現はセミノーマと一致したが、DNMT3Lは陽性を示した。この症例から、「セミノーマの中に、胎児性癌に特異的なDNMT3Lを発現している症例群があり、そのような症例は非セミノーマに分化する傾向がある。」という仮説を着想した。本研究の目的は、単一型セミノーマおよび非セミノーマ中のセミノーマ成分におけるDNMT3L発現頻度を明らかにし、その症例の臨床的特徴を検討することである。 すでに作成した精巣腫瘍tissue-microarray(71例)とAFP高値のセミノーマ3例で、DNMT3L、及び既存の胎児性癌マーカーCD30・SOX2、セミノーママーカーであるc-kitの発現を免疫染色にて検討した。まず、単一型セミノーマと診断された23例は全例でckit陽性、CD30陰性、SOX2陰性であり、形態学的、免疫組織化学的にセミノーマとして矛盾しなかった。しかし、DNMT3Lの免疫組織化学染色では、セミノーマの6/23例(26%)でDNMT3L陽性を示した。単一型セミノーマの診断であったが血清AFP高値を示した症例は、3例全例でDNMT3L陽性を示した。一方、非セミノーマにおけるセミノーマ成分におけるDNMT3L陽性率は36%であった。興味深い事に、単一型セミノーマ(DNMT3L陽性)6例は、全例転移巣を有していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
gankyrinの精巣腫瘍と精巣の発生に役割については、すでに論文投稿済みである。 現在は、新たな取り組みをはじめており、実験計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でセミノーマでのDNMT3Lの発現は転移例にのみ存在していることが明らかとなった。そこでDNMT3Lの発現が癌の浸潤、転移に関連しているか調べるため、胚細胞腫瘍株にDNMT3Lを発現抑制、あるいは過剰発現させ、細胞の増殖、遊走・浸潤能に影響するかどうかを指標とした機能解析を予定している。 また、臨床検体における免疫組織化学染色では、DNMT3Lの発現と実際のメチル化の関連を調べるため5mc, 5hmcの発現の検討を行う。これらの研究により、精巣腫瘍の組織分化におけるエピジェネテイクス制御機構とその臨床的意義を明らかにすることにつながると考えている。
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