2012 Fiscal Year Research-status Report
新規癌関連タンパク質GGCTを標的としたRNA干渉による尿路上皮癌治療の開発
Project/Area Number |
24592384
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50378452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 英紀 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (40555067)
荒木 勇雄 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50252424)
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (80230704)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | C7orf24 / GGCT / siRNA |
Research Abstract |
新規癌関連タンパク質GGCTを標的としたRNA干渉による尿路上皮癌治療の開発をテーマに研究を進めており、尿路上皮癌の株細胞であるUMUC3をモデルに用いてGGCTを標的として検討している。UMUC3においてGGCTを標的としたRNA干渉実験で、同分子の発現を抑制することにより細胞増殖の抑制が観察されている。これらの一連の細胞増殖抑制効果はどのようなメカニズムによるものかはまだ十分に判明しておらず、それらの解析も同時に行っている。今までの研究において、GGCTの発現を抑制した腫瘍細胞においてはネクローシスやアポトーシスとは異なった細胞の形態変化を認めており、前立腺癌細胞モデルPC3を用いた実験系ではウエスタンブロッティングでアポトーシスの際に認められるシトクロームC発現の増強は認めず、リアルタイムPCRでもアポトーシス促進因子であるBAXの発現上昇は認めず、アポトーシス阻害因子であるBcl-2の発現上昇が観察された。これらのことからGGCTの発現抑制による細胞増殖抑制効果はアポトーシスとは異なるメカニズムが示唆される結果となっている。また、現在臨床で使用されている既存の抗がん剤治療効果と、非アポトーシス性の細胞増殖抑制効果を認めるGGCTの発現抑制効果とを組み合わせることでさらなる抗がん効果が期待できることが示唆されるため、相乗効果の有無を確認する実験も進めている。尿路上皮癌以外での癌腫においてもGGCTの高発現が観察されており、白血病細胞モデルや前立腺癌細胞モデル、骨肉腫細胞モデルでも同様に同分子を標的としてRNA干渉実験を行い、それぞれの細胞モデルにおいて細胞増殖抑制効果を確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規癌関連タンパク質GGCTを標的としたRNA干渉による尿路上皮癌治療の開発をテーマに研究を行っており、実際にRNA干渉で同分子を抑制することで尿路上皮癌細胞モデルでの細胞増殖抑制効果を観察できている。24年度に実施計画を行っていた摘出標本での尿路上皮の癌組織、正常組織におけるGGCT発現の検討研究はまだ十分に達成できていない。尿路上皮癌以外での各種癌細胞モデルにおいてもGGCTの発現増強が観察できており、現在RNA干渉による各種癌細胞モデルでの細胞増殖抑制効果を確認している。さらに細胞増殖抑制効果の効率を上げる検討や、リポフェクション操作による細胞毒性の有無の検討も行っている。 おおむね研究予定に沿って進んでいるがさらなる研鑽が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
尿路上皮癌以外の各癌腫においてGGCTの強発現が認められており、それらの発現を抑制することで各癌腫の細胞増殖抑制が観察されている。細胞増殖抑制のメカニズムはまだ十分に解明されていないため、どういったメカニズムで細胞増殖が抑制されているのかをさらに評価することを予定している。尿路上皮癌治療の開発だけにとどまらず、各癌腫でも細胞増殖抑制効果のさらなる観察を行い、治療法の開発を行うことを予定している。現在は細胞レベルでの細胞増殖抑制効果の観察にとどまっているが、研究を進め、安定して各癌腫での細胞増殖抑制を行うことができれば、いずれ動物レベルで抗癌作用を観察することも視野に入れている。 尿路上皮癌の摘出標本において癌組織、正常組織中のGGCTの発現レベルを定量評価し、悪性度との関連性や、病期との関連性の検討を行う。 現在までに作製している数種類のsiRNAで細胞増殖抑制効果が認められているが、さらに効率よくGGCTの発現抑制効果を示すsiRNAの構造を解明し、作製することを検討している。RNA干渉による治療法の確立は困難であることも予想されるため、低分子化合物によるGGCT発現抑制など、他の手技、方法での尿路上皮癌治療の開発も視野に研究を進める予定である。それらをまとめて学会発表、論文作成を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で使用する細胞株,実験動物などの生物学的試料の購入。また,試薬およびプラスチック器具などの消耗品などの購入。研究で確認された各癌種での細胞増殖抑制効果の効率を改善する手技の確立や、新しいsiRNAの開発、低分子化合物の開発などを予定しており、それらに研究費を使用する予定である。大型の新規機器の購入は計画していない。 発表に際しての学会出張費,資料整理の研究補助者への謝金,論文投稿料等に使用する計画である。
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