2013 Fiscal Year Research-status Report
新規癌関連タンパク質GGCTを標的としたRNA干渉による尿路上皮癌治療の開発
Project/Area Number |
24592384
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50378452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 英紀 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (40555067)
荒木 勇雄 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50252424)
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (80230704)
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Keywords | siRNA / GGCT / 癌治療 |
Research Abstract |
1)尿路上皮癌組織における免疫組織学的検討: 経尿道的膀胱腫瘍切除術を行った47例の病期TaまたはT1膀胱癌のパラフィン切片を試料として,抗GGCTポリクローナル抗体(R&D社)を用いた免疫染色を行い膀胱内再発の有無を比較検討した.染色強度によりGGCT高発現(30例)と低発現(17例)の2群に分けた.5年非再発率は高発現群30%,低発現群が57%で有意差は無いものの,高発現ほど再発しやすい傾向が見られた(Log rank p=0.10).以上よりGGCT高発現は筋層非浸潤膀胱癌の再発予測因子となりうる可能性が示唆された. 2)細胞増殖抑制効果を得ることができる有用なsiRNAの作製: 尿路上皮癌を含む各種の癌細胞株においても効率的にノックダウンを得られる複数のRNAi配列を設計できた.WST-8アッセイによる検討ではこのGGCTノックダウン効果により細胞増殖率が顕著に減少することが示された. 3)抗癌剤と抗GGCT siRNA併用投与の検討: 尿路上皮癌ではアドリアマイシン,マイトマイシンCなどが膀胱内注入としてよく用いられる.これらの抗癌剤と抗GGCT siRNAの併用投与をUMUC-3細胞を用いて検討した.それぞれ単独では有効な細胞増殖抑制効果が見られるが,残念ながら併用投与における相乗効果は認めなかった.しかしながら,対象細胞株を前立腺癌細胞株LNCaPとPC-3とし,抗癌剤を同疾患で標準的に用いるドセタキセルとすると有意な相乗効果が認められた.それぞれの細胞にドセタキセルのIC50となる濃度を設定し,低濃度(5nM)の抗GGCT siRNAを複数配列を準備し併用投与したところ,細胞生存率はLNCaPでドセタキセル単独に比べて11~26%,PC-3では26~41%低下した.In vitroのみではあるが,以上より抗GGCT siRNAと抗癌剤の相乗効果が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一目標である尿路上皮癌患者におけるGGCT 発現の検討では,免疫組織化学による癌組織でのタンパク発現を確認でき,それが再発率との関連が見られることを明らかにできた.ただし,mRNA発現については行えていない. 第二目標であるIn vitro siRNA 治療モデル作製については,多種の癌細胞株おいても効率的にノックダウンを得られる複数のRNAi配列を設計できた.抗がん剤との併用治療を目指した予備検討では,膀胱癌細胞株UMUC-3とアドリアマイシンまたはマイトマイシンCとの併用を行い,相乗効果を検討した.しかしながら,併用時における有意な相乗効果は得られなかった.一方,対象細胞を前立腺癌細胞株LNCaPおよびPC-3として,前立腺癌治療に用いられるドセタキセルとの併用を試みると,ドセタキセル単剤投与にくらべて有意に相乗効果が得られた. 以上より,おおむね順調との自己評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
尿路上皮癌においては予定通りGGCT siRNAを用いたin vivo治療モデルの作製を行う予定である.特に膀胱内注入モデルに関しては正所性担癌マウス/ラットの作製が確立しているため,実施は十分可能と考える.抗腫瘍効果のみならず,有害事象についても検討していく予定である. 一方,血中投与を目的とした全身治療に関してはsiRNAの血中分解を防ぐ有効なドラッグデリバリーシステム(DDS)は未だ確立されていない.申請書に記載したアテロコラーゲンを予備検討したが,やはり腫瘍への有効な到達は得られなかった.全身投与については今後も最新のDDSを模索していくことが必要であると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定の担癌動物モデルにおけるin vivo実験が遅れており,実験動物および同実験試薬類の購入がまだ行われていない.よってこれらの費用がまだ計上されていないために残額が生じている. H26年度においては担癌動物実験を進めていく予定であり,前年度繰り越し分も含めて費消する見込みである.
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Research Products
(3 results)