2012 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞癌のチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性獲得機構の解明と新規治療法の開発
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24592389
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三宅 秀明 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60379435)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / チロシンキナーゼ阻害剤 / 耐性獲得 |
Research Abstract |
我々が腎細胞癌(RCC)細胞株をチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるsunitinibに持続的に暴露させることにより、sunitinibに対して一定の耐性を獲得したヒトRCC細胞株ACHNを樹立した。上記のsunitinib耐性株を用いて、耐性獲得の分子機序の解析を行い以下の諸点を明らかにした。 ・耐性株は他のTKIであるsorafenibには交叉耐性を獲得しているが、mTOR阻害剤であるtemsirolimusおよびeverolimusには母細胞株と同等の感受性を示した。・母細胞株にsunitinibを添加するとAktおよびMAP kinaseのリン酸化は速やかに消失するが、耐性株においてはsunitinib添加後もAktおよびMAP kinaseの持続的リン酸化を認めた。・耐性株をAktの特異的活性化阻害剤で処理することにより、耐性株のsunitinibに対する感受性は、母細胞株と同等のレベルに回復したが、MAP kinaseの特異的阻害剤は、耐性株のsunitinibに対する感受性に影響を及ぼさなかった。・TK活性を有する種々の受容体蛋白のリン酸化をRTK Phosphorylation Antibody Arrayを用いて、sunitinib投与前後におけるリン酸化レベルの変化を解析したところ、耐性株においてsunitinib投与後もリン酸化レベルが持続する受容体を複数同定した。・ヌードマウスを用いた動物実験では、sunitinib投与による母細胞株および耐性株の腫瘍容積に有意な差を認めなかったが、母細胞株におけるapoptotic indexは耐性株に比し有意に高値であった。・血管新生因子の役割も併せて解析したが、今回の系においては血管新生因子が、TKIに対する耐性獲得について何らかの役割を果たしている可能性を示唆する所見は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の概要に記載した通り、RCCのTKIに対する耐性獲得における分子機構の一端を明らかにし、それに対する耐性克服戦略に向けた計画の立案が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の成果を踏まえ、今後の推進策としては以下の3点に要約される。 ・他の細胞系を用いて、今回得られたTKIに対する耐性獲得に関する所見の普遍性を確認する。 ・上記の成果に記したTKIに対する耐性獲得の分子機序に基づく、耐性克服戦略構築に向けた基礎的検討を行う。 ・RCCの臨床標本を用いて、TKIに対する耐性獲得に関する所見と臨床経過との関連を解析し、分子マーカーの同定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特に予定変更無し。
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Research Products
(1 results)