2013 Fiscal Year Research-status Report
新規の薬剤膜輸送制御機構の解明に基づく抗癌剤耐性克服治療薬の開発のための基盤研究
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24592390
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江原 伸 岡山大学, 大学病院, 講師 (70379741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 昌実 岡山大学, 大学病院, 准教授 (70444677)
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Keywords | 癌 / 抗癌剤耐性 / P-glycoprotein / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
我々のこれまでの研究により、アドリアマイシン耐性膀胱癌細胞株であるKK47/ADMにおいて、アデノウィルスベクターでREIC(Reduced Expression in Immortalized Cells)遺伝子(Ad-REIC)を強制発現させることによりアポトーシスが誘導されることが確認されている。またAd-REIC治療後のKK47/ADMにおいて、抗癌剤であるドキソルビシンによる殺細胞増強効果が認められ、ABCトランスポーターファミリーであるP-glycoprotein(P-糖蛋白)の発現抑制も認められている。加えて、この際に小胞体ストレス応答の下流に存在するJNK(c-jun N-terminal kinase)をJNK inhibitorであるSP600125で抑制することにより、P-glycoprotein発現の回復を認めている。この様に、小胞体ストレス応答周辺における分子シグナリングが、癌治療における各種抗癌剤に対する薬剤耐性に密接に関与している可能性が高い。これらの基盤データをもとに本年度は、小胞体ストレス応答の下流に存在する薬剤膜輸送制御機構の解明の為に、小胞体ストレス応答に密接に関与する3つの分子の細胞質側領域の発現システムを構築した。また本年度の研究により、細胞質内の存在するタンパク質複合体による特定のレセプターの核内への輸送の一旦が解明されつつあり、当該レセプターに特異的な薬剤耐性機構を克服する為の基盤研究を併せて実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により、小胞体ストレス応答の下流に存在する薬剤膜輸送制御機構の解析が順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に新規に見出した薬剤耐性機構について、小胞体ストレス応答との関連を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定より物品を安く購入できたため、未使用額が生じた。 平成26年度は、平成26年度支払い請求分に本年度未使用分を宛がい、引き続き研究計画に基づき有効に適正に使用する。具体的には、今年度の実験計画に含まれる、遺伝子発現実験関連試薬や、各種試薬・化合物、各種細胞ならびにヌードマウス等の購入に使用する。
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