2012 Fiscal Year Research-status Report
プロテオミクス解析およびパスウェイ解析による新規前立腺癌バイオマーカーの検討
Project/Area Number |
24592411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
木村 高弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00307430)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 前立腺癌 |
Research Abstract |
これまでに,前立腺癌に対する新規バイオマーカーの探索のため,低グリソンスコア,高グリソンスコア,有転移前立腺癌患者のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)前立腺組織を用いたプロテオミクス解析を行い,前立腺癌で発現している371 種類のタンパク質を同定した。本研究では,これまでの研究で得た解析データを元にパスウェイ解析を行うことで,前立腺癌の悪性度,進行度に伴うシグナル変化を検討すると共に,その結果から,新規バイオマーカー候補を抽出し,多検体による評価を行うことで,臨床的に有用性の高い新規バイオマーカーを発見することを目的としている。 平成24年度は,今回プロテオミクス解析で同定した371 種類のタンパク質のパスウェイ解析を行った。正常,低GS,高GS,転移前立腺癌におけるタンパク発現データをパスウェイ解析ソフトウェア,インジェヌイティ パスウェイ アナリシス(IPA:インジェヌイティ社)を用いて,パスウェイ解析を行った。IPA は同定された各タンパク質の発現量とアノテーションデータを関連づけ,タンパク質をシグナルパスウェイ毎にグループ分けし,パスウェイ単位での活性化の程度を解析する。この方法により,発癌に伴い活性化するパスウェイ(正常に対し低GS, 高GS および転移群で活性化)を10経路,低分化癌(高GS)で活性化するもの(高GS および転移群で活性化)23経路,転移性癌で活性化するもの(転移群でのみ活性化)9経路,さらに低GS癌で活性化し,高GSおよび転移癌で非活性化するもの16経路を同定した。これらの経路は特に前立腺癌の発癌,進展に重要な役割を果たすパスウェイと考えられた。平成25年度以降はさらにこの経路の中から新規バイオマーカーの同定を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はパスウェイ解析が行われ,重要性の高い経路の同定が出来た。この結果は当初の予定と比べおおむね順調なものである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はパスウェイ解析の結果から新規前立腺癌バイオマーカー候補の選別と免疫組織染色による検証を行う。 i) 新規前立腺癌バイオマーカー候補の選別 パスウェイ解析で得られた,前立腺癌の発癌,進展に関与すると考えられるシグナルパスウェイ内のタンパクを検討し,新規前立腺癌バイオマーカー候補を選択する。選別方法としては,実験①で前立腺癌の発癌,進展に関与すると考えられたシグナルパスウェイ内で同定されたタンパク質の中で,発現量が高いタンパク質を選択する。この方法により,同一パスウェイ上にあるタンパク質を重複して検討する事を避ける事が出来るため,従来の方法に比べ効率の高い選別が可能となる。タンパク発現量の比較には,プロテオミクス解析で得られたデータ(NSAF およびRSC 値)を参考にする。計30 程度のタンパク質を候補として絞り込む。 ii) 免疫組織染色による検討 新規バイオマーカー候補タンパク質の発現を,プロテオミクス解析に用いた前立腺検体の免疫組織染色によって検証する。候補タンパク質の抗体を購入,または市販抗体が得られない場合は抗体を作製する。抗体が入手できない場合は,大腸菌またはバキュロウィルスを用いた昆虫細胞系により得た抗原タンパク質をマウスに免疫し抗体を作製する。なお,抗体を作製する際に,目的とする抗体が得られなかった場合には,外部業者へ委託する。対象症例はプロテオミクス解析で対象とした,低GS 症例5 例,高GS 症例5 例(いずれも前立腺全摘検体),初診時より転移を認め無治療で前立腺針生検を受けた症例5 例(生検検体)および低GS 症例の正常組織とする。免疫組織染色の結果をプロテオミクス解析における各症例のタンパク発現量と比較する。免疫組織染色で前立腺癌にタンパク発現が確認されたものについて,多検体での検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はパスウェイ解析ソフト購入が不要となったため,研究費は研究計画より残金が発生した。平成25 年度は新規バイオマーカー候補タンパクの免疫組織染色およびELISA 法を行うための抗体及び試薬に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)