2014 Fiscal Year Annual Research Report
天然物リガンドDNTによる特異的な前立腺癌増殖阻害の作用機序解明
Project/Area Number |
24592417
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
山崎 洋子 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 研究員 (80342690)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 前立腺がん / アンドロゲンレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、去勢抵抗性前立腺がんの治療に使用されているアンドロゲンレセプター(AR)阻害剤はARとリガンドの結合を阻害するアンタゴニストのみである。申請者らは、現在使用されている抗アンドロゲン剤とは異なった機序の抗前立腺癌物質の発見を目的として、微生物代謝産物から探索研究を行い低分子化合物DNTを発見した。その後の解析によりDNTはARの核内移行を阻害することによってヒト前立腺がん細胞株LNCaPのアンドロゲン依存性増殖を阻害することが明らかになった。 DNTはARの転写活性を阻害するが、その特異性について解析した。エストロゲンレセプター結合部位およびプロゲステロンレセプター結合部位の下流にルシフェラーゼ遺伝子を結合させたプラスミドをヒト乳がん細胞MCF-7に導入し、一過性に発現させた。その後、1 nMのエストラジオールおよびプロゲステロン添加によりルシフェラーゼ活性の増大が確認された。このルシフェラーゼアッセイ系において、DNTのエストロゲンレセプターおよびプロゲステロンレセプターに対する転写阻害活性を解析したところ、わずかな阻害が観察された。 また、ARの転写阻害をLNCaPだけではなく、他の前立腺がん細胞株で解析したところ、VCaPではほとんど阻害活性がみられないことが明らかになった。しかしながら、より悪性度の高いヒト前立腺がん細胞株22Rv1においてはLNCaPより強いARの転写阻害活性がみられ、その阻害効果は現在臨床で使用されているエンザルタミドと同程度であった。 DNTの標的タンパクを特定するためにアフィニティービーズの使用を試みたが、DNTとビーズの結合が弱いことが中間体のHPLC解析によって明らかになった。現在、バッファーの組成、結合時間、温度などを検討中である。 さらに、サーマルシフトアッセイによりDNTとAR間のダイレクトな結合の有無の確認を検討中である。
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