2012 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌手術における的確な神経温存のための光音響画像化技術の有用性の検証
Project/Area Number |
24592418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
堀口 明男 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (20286553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 美弥 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (30505342)
浅野 友彦 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (40167226)
平沢 壮 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (60583086)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 根治的前立腺摘除術 / 神経温存 / 画像診断 |
Research Abstract |
神経温存根治的前立腺全摘除術は、制癌と性機能温存を要求される難易度の高い手術である。的確な性機能温存には、微小血管とともに前立腺周囲を覆う勃起神経のネットワーク(神経血管束)を術中に明瞭に認識することが理想だが、現状の画像診断技術では不十分である。次世代の画像診断技術として注目されている光音響イメージングは、超音波診断装置にレーザー光を付加してヘモグロビンのみを画像化可能で、使用するレーザー光の波長によってオキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビンを識別できるため血中酸素飽和度のマッピングも可能な方法として着目されている。今年度は、これまでに開発してきた径300マイクロメートルの微小血管網の3D画像撮像が可能となった光音響画像断層撮影実験機(リニアプローベ)を用いて、マウス皮下に作成したヒト前立腺癌皮下腫瘍モデルを用いた腫瘍血管、腫瘍周囲血管の撮像を行った。さらに、計14例の外科的切除された前立腺組織を撮像し、血管をランドマークとした神経血管束の同定が可能かを検討してきた。撮像した組織のパラフィン包埋切片を用いて、抗CD34抗体を利用した血管内皮、および抗S-100抗体を利用した神経細胞の免疫染色を行い、光音響画像所見との整合性を確認した。さらに、利便性を考慮し、経直腸的超音波プローベと光学系を組み合わせた光音響プローベを開発した。倫理委員会承認を得て、術中イメージングへの応用について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究到達目標として掲げた項目は、(1)光音響画像断層撮影機がヌードマウス皮下に作成した小径腫瘍内や腫瘍辺縁の微小血管を認識しうるか確認を行うこと、(2)ヒト前立腺のサイズでの性能評価を外科的に切除されたヒト前立腺癌組織を用いて検討すること、であった。両者とも現有のリニアプローベならびに新たに開発したプローベでの検討がなされた。さらに、経直腸プローベの開発も完了し、倫理委員会の承認を得て臨床研究段階へ到達したため、当初の予定よりも進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は以下の二項目を重点的に行う。 (1)イヌをモデル動物とした手術シュミレーション イヌの前立腺は形態的にも機能的にもヒトの前立腺と類似している。前立腺周囲の神経、血管構造もヒトと類似しているため、臨床応用への可能性を踏まえた、経直腸的に使用できるプローブ開発のために最も適したモデルといえる。現有の8チャンネルアレイセンサを経直腸用プローベとして使用し、経直腸下での前立腺及び神経血管束のランドマークである血管網の可視化性能を評価する。経直腸下での観察が可能であれば、実際に経直腸的に前立腺をモニターしながらイヌの前立腺摘除を試み、神経温存手術のガイドとしての有用性を検証する。 (2)根治的前立腺全摘除術への応用 イヌモデルで得られた結果をもとに、経直腸超音波プローブと光プローブの最適な配置を決定する。また、ヒトに適応する際に重要なファクターであるデータの取り込み、画像表示時間の短縮化に関する検討、画像表示法に関する検討を加え、より実用的なプローベ開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究用動物費用 光学備品 得られた研究成果を発信するために論文作成費、学会参加費用など
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