2013 Fiscal Year Research-status Report
男性不妊症に対する内分泌療法開発についての基礎研究
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24592447
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
白石 晃司 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00535255)
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Keywords | 精子形成 / テストステロン / アンドロゲンレセプター / 無精子症 |
Research Abstract |
非閉塞性無精子症患者(以下、NOA)についての顕微鏡下精巣内精子採取術(以下、micro-TESE)にて精子採取不可能であった患者におけて、hCGをベースにしたサルベージ内分泌療法(以下、内分泌療法)を行っている。その際に採取した精巣内fluidを用いて精巣内テストステロン(以下、ITT)の測定を行った。内分泌療法にてITTは約5倍程度上昇することが示されたが、ITTと2回目のmicro-TESEによる精子採取との関連は認められなかった。内分泌療法を行う際にはFSH製剤を使用する場合と使用しない場合があるが、FSH製剤使用群において、精祖細胞におけるproliferating nuclear cell antigen (PCNA) の発現(免疫染色により検討)が亢進した。つまり精子形成の初期段階であるが、FSH刺激により精祖細胞のDNA合成が促進されることが示された。 次に、テストステロンのレセプターである精巣内アンドロゲンレセプター(以下、AR)の発現と局在を内分泌療法前後の精巣生検サンプルを用いて検討した。ヒト精巣内アンドロゲンレセプターはセルトリ細胞に発現するも、セルトリ細胞マーカーで染色したビメンチン陽性細胞全てにARが発現しているわけではなかった。セルトリ細胞におけるARの発現率を検討したところ、内分泌療法によりその発現が亢進し、PCNAと同様にFSH製剤の使用によりその発現が亢進し、ARの発現亢進の程度が強い症例において2回目のmicro-TESEでの精子採取がより可能であった。 つまり、FSH製剤の使用が新たな内分泌療法開発の糸口になることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト検体を用いた解析を主に行ったが、免疫染色やELIZAなどの解析自体は順調に進み、次の研究のヒントになりうる結果が得られた。in vitroの解析においてはやや遅れいている。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの解析にて、ゴナドトロピン刺激に伴う精巣内paracrineおよびjuxtacrine の解析を行う。今回の検討によりライディヒ細胞よりもセルトリ細胞が非閉塞性無精子症の内分泌療法という観点からは重要と考えられたため、セルトリ細胞の培養系について経験のある研究者より指導を仰ぐ。 同時に、FSH製剤を主に用いたサルベージ内分泌療法についても臨床研究を開始予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定であった遠心器およびインキュベーターについては実験の推進上、in vitroの解析よりもヒト検体を用いた解析を先に進めたため、次年度の購入に変更したことから未使用額が生じた。同様に遺伝子導入試薬の使用量も少量であったため未使用額が生じた。 未使用額2349118円は、購入を見送っていた遠心器およびインキュベーターのほか、平成26年度の購入予定分とあわせて、リポフェクタミン等の試薬、免疫染色のための抗体、またテストステロン測定キットの購入に充てる。
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