2013 Fiscal Year Research-status Report
造精機能障害におけるCyclooxygenase 2(COX2)の制御機構の解明
Project/Area Number |
24592449
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
窪田 裕樹 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10347403)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
林 祐太郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40238134)
佐々木 昌一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50225869)
梅本 幸裕 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80381812)
|
Keywords | 造精機能障害 / COX-2 |
Research Abstract |
前年度までに作成したCOX-2誘導モデルマウスを用いて、造精機能障害の原因について解析を進めた。TUNEL染色により精巣組織におけるアポトーシス細胞を検出したところ、主にパキテン期の精母細胞においてアポトーシスが誘導されていた。精細胞のアポトーシスの評価にはアポトーシス・インデックス(すべての精細管の中でTUNEL陽性細胞を含む精細管の割合を%で表す)を用いたが、COX-2inhibitor投与群においてアポトーシス細胞の有意な増加を認めた。これらの変化は経時的に増強されており、造精機能障害の程度と相関関係が認められた。 続いてCOX inhibitorが本実験モデルにおいてテストステロン産生に及ぼす影響を検討したところ、明らかに有意な差は認められないが、COX-2inhibitor投与群においてテストステロンの低値が認められた。このテストステロン産生の低下がCOX-2誘導の結果としてのLeidig細胞の機能低下によるものかどうかは不明である。他の性ホルモン(LH, FSH, PRL)の変化についても解析中であるが、現時点では有意な結果は得られていない。 COX inhibitor投与によるマウスの性行動への影響につき、発情させた雌マウスとそれぞれの実験グループの雄マウスを用いて、解析を行った。交尾回数を含む性行動の各項目において、COX-2inhibitor投与群では回数の有意な現象が認められた。脳内でのプロスタグランジン作用の低下がこのような結果を招いた可能性が推測される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では、当初の計画に基づいてモデルマウスの作成からCOX inhibitorsの投与までを行い、得られた組織の解析を進めている。COX-2の作用については不明な点が多かったが、造精機能障害と密接に関連していることが明白となり、その機序として精細胞でのアポトーシスの誘導が示された。 テストステロン産生の低下については、他のホルモンとの関連もあるため解析をさらに進める必要があるが、性行動の低下は有意な差が示され、COX-2の役割の一端の解明に近づいていると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は凍結保存しておいた各臓器からtotal RNAを抽出し、PPARγ・NFκB・p53・Baxと言ったアポトーシスを制御するとされる各転写因子の発現をRT-PCRを用いて検討する。 定量PCRを行うことで、それぞれの実験グループにおける各転写因子の経時的な遺伝子発現量を比較検討することが可能になると思われる。 また、各臓器から蛋白を抽出してWestern blottingを行うことで、蛋白レベルでの経時的な発現の変化についても検討を行う。 テストステロン産生の低下については、追加実験の必要性も考慮している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降に、精巣組織からのRNA抽出および発現の解析を予定しているため。 また、蛋白レベルでのアポトーシス関連遺伝子の発現パターンも予定している。 凍結保存した組織からのRNA抽出およびRT-PCRによる遺伝子発現の定量化のための試薬購入費用が必要である。また、蛋白の発現パターン解析の試薬も必要である。
|