2013 Fiscal Year Research-status Report
多嚢胞性卵巣症候群における若年子宮内膜癌発症に関する遺伝学的研究
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24592461
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加嶋 克則 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50345500)
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Keywords | 多嚢胞性卵巣症候群 / 若年子宮内膜癌 |
Research Abstract |
新潟大学医学部の遺伝子倫理審査委員会に申請書を提出し、本研究の承認を得た。当科における子宮内膜癌症例を検討では、子宮内膜癌症例における若年症例の割合は、1990~1999年:6.1%(11症例/180症例)、2000~2009年:7.0%(22症例/313症例)、2000~2009年:11.8%(11症例/93症例)であり、子宮内膜癌症例数の増加と若年症例の割合の増加を確認することができた。また、臨床所見が確認できた若年症例34症例中15症例(44.1%)において多嚢胞性卵巣症候群が合併していた。多嚢胞性卵巣症候群の診断基準、①月経異常、②多嚢胞性卵巣、③血中男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH基礎値正常、を満たす症例および40歳以下の若年子宮内膜癌症例を集積している。Journal of Reproductive Medicine(2013;58:491-496)にA C/T Single Nucleotide Polymorphism at Tyrosine Kinase Domain of Insulin Receptor Gene is Associated with Pathogenesis among Lean Japanese Women With Polycystic Ovary Syndrome.が掲載された。これは、多嚢胞性卵巣症候群61症例とコントロール99症例のインスリン受容体遺伝子のHis 1058 C/T(tyrosine kinase Domain)多型を解析し、BMI 20以下の日本人の多嚢胞性卵巣症候群症例の発症にインスリン受容体遺伝子のHis 1058 C/T多型が関与していることを報告したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当科における過去の症例を解析し、子宮内膜癌症例数が増加傾向にあり、また、若年症例の割合が増加していることを確認することができた。今後は、多嚢胞性卵巣症候群症例および若年子宮内膜癌症例の集積が必要であるが、当科における対象となる症例数が少なかったため、症例集積に時間を要している。また、文献検索およびデータベース検索により疾患感受性候補遺伝子を選択し、遺伝子内の一塩基多型を確認した。BMI 20以下の日本人の多嚢胞性卵巣症候群症例の発症にインスリン受容体遺伝子のHis 1058 C/T多型が関与していることをJournal of Reproductive Medicineに報告した。さらに、若年子宮内膜癌との関連を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、多嚢胞性卵巣症候群症例および若年子宮内膜癌症例の集積を行い、末梢血よりDNAの抽出を行う。 多嚢胞性卵巣症候群症例における子宮内膜癌の発症要因としては、プロゲステロンによる拮抗を受けない高エストロゲン環境の関与、高アンドロゲン血症の関与、高インスリン血症の関与などが考えられている。多嚢胞性卵巣症候群および子宮内膜癌の発症要因を考慮すると、インスリン抵抗性、肥満に関与するインスリン遺伝子、インスリン受容体遺伝子、レプチン遺伝子、レプチン受容体遺伝子、アンドロゲン受容体遺伝子などが疾患感受性候補遺伝子になると判断される。これらの遺伝子内の一塩基多型をデータベースより選択し、遺伝子多型の解析を行う。多嚢胞性卵巣症候群症例において子宮内膜癌を発症した症例と発症しなかった症例に分け解析し、疾患感受性遺伝子の同定を目指す。また、一塩基多型と発症年齢、進行期、ホルモン療法感受性などの臨床所見との関連性を解析する。多嚢胞性卵巣症候群の病態はインスリン抵抗性を認めるかどうか、肥満を認めるかどうかなど表現型が多様であるため、表現型別の解析も行う。インスリン受容体遺伝子以外の遺伝子の解析も進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多嚢胞性卵巣症候群症例および若年子宮内膜癌症例の集積が必要であるが、当科における対象となる症例数が少なかったため、症例集積に時間を要している。このため、試薬の購入金額が予定より少なくなった。 引き続き、末梢血よりDNAを抽出するキットおよびインスリン遺伝子、インスリン受容体遺伝子、レプチン遺伝子、レプチン受容体遺伝子、アンドロゲン受容体遺伝子などの一塩基多型解析に必要なTaqMan Probe用試薬およびPCR用試薬の購入を予定している。また、学会発表用および論文投稿用の費用も予定している。
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