2012 Fiscal Year Research-status Report
莢膜細胞/アンドロゲン系を制御する:ゴナドトロピン不応症の克服を目指して
Project/Area Number |
24592464
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
折坂 誠 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80324143)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ovary / follicle / androgen / poor responder / PCOS |
Research Abstract |
卵胞発育過程における前胞状卵胞から胞状卵胞への移行期は、発育制御のメインシステムが卵巣内局所調節からゴナドトロピン(特にFSH)へと切り替わる重要なターニングポイントであり、卵胞がゴナドトロピン依存性を獲得するうえで極めて重要なステージと考えられている。 本研究では「前胞状卵胞がゴナドトロピン依存性を獲得するプロセスにおいて、アンドロゲンを含む莢膜細胞由来の因子が重要な役割を担っており、このステージにおける莢膜細胞/アンドロゲン系の制御異常は、ゴナドトロピンに対する卵胞の反応異常につながる」と仮説し、その検証を進めている。本研究の最終ゴールは、不妊治療の排卵誘発に対して強い抵抗性を示すゴナドトロピン不応症(poor responder)や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)において、卵巣局所における莢膜細胞/アンドロゲン系を制御することにより、前胞状卵胞のゴナドトロピン依存性獲得を誘導し、排卵誘発に対する反応性を回復させることにある。 本年度は、莢膜細胞のmain regulatorがLHであることに基づき、ウシ小卵胞から回収した莢膜細胞をLH刺激し、その際の莢膜細胞内の遺伝子変化をDNAマイクロアレイで網羅的に解析した。このうち、リアルタイムPCR法で有意な発現誘導を最終確認しえたのは、アンドロゲン産生に関連するsteroidogenic acute regulatory protein (StAR)とhydroxysteroid (11-beta) dehydrogenase (HSD11B1)、さらには炎症反応に関連するpentraxin 3 (PTX3)の3つであった。この結果より、顆粒膜細胞中のFSH受容体がその機能を開始するうえで、莢膜細胞からのパラクライン的なサポートを必要とするならば、その制御因子はアンドロゲンである可能性が高いと推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、莢膜細胞が産生する液性制御因子の候補絞り込みに成功した。さらには、卵胞がFSH依存性を獲得するプロセスにおいて、アンドロゲンが担う役割を解明することの重要性が再確認されたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
「正常の卵胞発育過程において、卵胞中のFSH受容体が機能し始めるためには、莢膜細胞からのパラクライン・サポート、特にアンドロゲンが必要である」ことを証明するために、卵胞のFSH依存性獲得プロセスにおける莢膜細胞/アンドロゲン系の役割を、当該研究者らが確立した「人工卵胞壁モデル」や「卵胞培養モデル」を駆使して、形態学および生化学的に解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウシの卵胞細胞やラットの前胞状卵胞を用いて、莢膜細胞由来のアンドロゲンが顆粒膜細胞におけるFSH受容体の発現をどのように制御しているのか解明する目的で、①実験材料である卵胞を回収するための幼弱雌ラット、②マイクロインジェクションの際に使用するアンチセンス・オリゴヌクレオチドやインジェクション・ピペット、③細胞培養用の器具や試薬、④RNAおよびタンパク質解析用の試薬類、⑤ホルモン測定のEIAキットなど、消耗品購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)