2013 Fiscal Year Research-status Report
莢膜細胞/アンドロゲン系を制御する:ゴナドトロピン不応症の克服を目指して
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24592464
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
折坂 誠 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80324143)
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Keywords | ovary / follicle / androgen / poor responder / PCOS |
Research Abstract |
卵胞発育過程における前胞状卵胞から胞状卵胞への移行期は、発育制御のメインシステムが卵巣内局所調節からゴナドトロピン(特にFSH)へと切り替わる重要なターニングポイントであり、卵胞がゴナドトロピン依存性を獲得するうえで極めて重要なステージと考えられている。 本研究では「前胞状卵胞がゴナドトロピン依存性を獲得するプロセスにおいて、アンドロゲンを含む莢膜細胞由来の因子が重要な役割を担っており、このステージにおける莢膜細胞/アンドロゲン系の制御異常は、ゴナドトロピンに対する卵胞の反応異常につながる」と仮説し、その検証を進めている。本研究の最終ゴールは、不妊治療の排卵誘発に対して強い抵抗性を示すゴナドトロピン不応症(poor responder)や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)において、卵巣局所における莢膜細胞/アンドロゲン系を制御することにより、前胞状卵胞のゴナドトロピン依存性獲得を誘導し、排卵誘発に対する反応性を回復させることにある。 本年度は、PCOSの内分泌学的特徴である高LH環境が卵胞発育に及ぼす悪影響を、動物モデルを用いて検証した。その結果、過剰なLH刺激は、莢膜細胞におけるいくつかの炎症性タンパクの発現を誘導することが明らかになった。さらに、これらの炎症性タンパクは、前胞状卵胞のFSH依存性獲得を阻害し、卵胞発育を抑制することも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣局所における莢膜細胞/アンドロゲン系が下垂体由来のLHで過剰刺激されると、卵胞発育が停止してしまうメカニズムの一端が明らかになった。卵胞がFSH依存性を再獲得するうえで、卵巣局所だけでなく、より中枢の視床下部~下垂体系をコントロールする必要性が初めて明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
従来より、痩せた女性では血中LHが高値であり、肥満女性では脂肪組織由来の炎症性サイトカインが高値であることが、それぞれ知られている。本研究の進展により、卵巣局所における軽度の慢性的な炎症性反応が、卵胞発育を抑制する可能性が推測されたことから、痩せや肥満といった不健康な体重が、女性の生殖機能に及ぼす悪影響とそのメカニズムに迫りたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に発注する予定であった消耗品が、年度内の納品が困難であることが判明し、発注できなかった。 上記の消耗品は研究遂行に不可欠なことから、新年度早々に発注する予定である。
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