2013 Fiscal Year Research-status Report
雄性生殖細胞への遺伝子導入による遺伝子疾患治療の試み
Project/Area Number |
24592465
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
正田 朋子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50345716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 修司 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (00228785)
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Keywords | 精子形成 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
重症乏精子症や精子無力症などの重症男性不妊症において射出精子もしくは精巣内精子を用いて ICSI を行うことにより、多くの妊 娠成功症例が得られているが、精子形成関連遺伝子の異常のために成熟精子が形成されない遺伝子異常症例では、その形質が児に伝搬 する可能性がある。このような症例に対して、正常遺伝子の導入により精子の形態・機能を正常化し、しかも子孫への伝搬を断ち切る ことができる治療法の開発が本研究の目的である。精子形成過程で特異的に発現するHook1遺伝子を欠損したマウス(azh ホモ接合体 (azh -/-) のオスC57BL /6J )を用いている。マウスHook1 遺伝子は、第 4 染色体上に存在し、22 個のエキソンから構成されている。Azh -/- オスマウスは 、これらのエキソンのうち、エキソン 10 および 11 が欠失している。昨年度までに、このHook1遺伝子 のプロモーター領域のクローニングに成功し、「マウス Hook-1 遺伝子のゲノムクローニング」を終えている。平成25年度は、クローニングした領域がプロモーターとして活性があるかについての検討を行う目的で、すでに構築されていた pEYFP-mitoプラスミドベクター (pCMV -YFP)より、584 bp の CMV プロモーター領域およびミトコンドリアシグナルcDNA 領域を排 除し、増幅した Hook1 promoter DNA (HP DNA) を、pEYFP-mito ベクターに挿入して pHP-YFP を構築した。マウス精巣にエレクトロポレーション法で精原細胞に遺伝子導入し、遺伝子導入したマウスを 60 日後に屠殺して、精巣内ならびに精巣上体において GFP 陽性の精子の数を解析したところ、黄緑色の蛍光を発する細胞の存在が確認された。Hook1 遺伝子プロ モーターは精子形成細胞内でのみ活性があるため、精子形成細胞である可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エレクトロポレーション法で精原細胞に様々な条件 (電圧、電流の方向、回数、等) でGFP陽性遺伝子を有するプラスミドを遺伝子導入するが、導入率が低く、今後高効率な導入条件の検討を行う必要がある。その条件のもとに、次には、Hook-1 遺伝子の欠失部分の遺伝子を組み込んたプラスミドベクターを遺伝子導入する。
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Strategy for Future Research Activity |
決定したエレクトロポレーション法の条件下で、Hook-1 遺伝子のプロモーターの下流に Hook-1 cDNA のORF を連結し、さらにその下流に YFP cDNA を 連結したコンストラクト をプラスミドベクターを用いて構築する(pHP-YFP)。 azh -/- C57BL/6 マウスの精巣の精原細胞にこれまでに決定した条件を用いて遺伝子導入する。遺伝子導入から 60 日後に屠殺して、精巣内ならびに精巣上体において GFP 陽性の精子を探索し、この GFP 陽性精子の形態を観察する。また、形態が正常化した精子については体外授精法によりその受精能が正常に復したことを確認する。
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