2014 Fiscal Year Research-status Report
妊産婦と胎児環境における亜鉛の重要性と補充療法の有効性の検討
Project/Area Number |
24592467
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
内田 季之 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90570234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (70263085)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胎盤通過性 / 微量元素 / 胎児発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
亜鉛に関連する微量元素として銅の存在がある。銅は非妊時では、亜鉛に拮抗すると言われており妊娠中の血清銅値の変化を亜鉛とともに検討する必要がある。同意の得られた妊婦15名の分娩前1週以内母体血と分娩時臍帯血を採取し、血清銅、鉄、亜鉛を測定した。これらの微量元素と胎児発育の関連を検討するため15名を低出生体重児で管理した群(出生体重2500g未満、N=8)、正常発育であった群(2500g以上、N=7)にわけて比較した。胎盤通過性の評価は、臍帯血と分娩前母体血清濃度の比(U/M比)で表した。非妊婦の血清銅、鉄、亜鉛を測定し(N=10)、分娩前母体血清と比較した。妊婦と非妊時の比較で銅は、妊娠時220±30.0μg/dlであり、非妊時148±28.4μg/dlと有意に妊娠時に上昇していた。分娩前母体血清銅とセルロプラスミンの比が分娩時臍帯血の血清銅とセルロプラスミンの比を比較した(N=6)。母体血清銅値は220±30μg/dl、臍帯血銅値は30.2±15.5μg/dl、母体血清亜鉛は57.5±10.0μg/dl、臍帯血亜鉛は86.3±12.2μg/dl、母体血清鉄値は89.0±49.4μg/dl、臍帯血鉄175±36.4μg/dlでいずれの微量元素もも母体血清と臍帯血値は有意に変化していた。胎盤は鉄、亜鉛の通過性は非常に高く、銅は通過性が低いと考えられた。胎児発育不全群と正常発育群で比較検討したところ、臍帯血清鉄値のみ有意差を認め、有意に正常発育群で高値であった。有意差は認めなかったが、正常発育群で臍帯血清銅値が低く、母体血清亜鉛値が高い傾向にあった。母体血清セルロプラスミン値は56.7μg/dl、臍帯血セルロプラスミン値は7.0μg/dlであり、セルロプラスミンの胎盤通過性は低いと考えられた。銅は妊娠中に高値となり、亜鉛、鉄は胎盤移行によって母体では低値となり、臍帯血では高値となったが、銅は臍帯血では低値であった。正常発育群でその傾向はより認められ、銅が鉄、亜鉛の胎盤輸送に関与している可能性もあるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床研究において症例検体収集が遅れ、胎児発育不全についての検討ができなかった。亜鉛については拮抗する銅の検討を必要とされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
亜鉛のみでなく鉄、銅との関連を考慮して、妊婦が亜鉛を胎児へ輸送のシステムを解析するにあたって胎盤でのトランスポーター蛋白の同定を行う。帝王切開で得られた胎盤を用いて亜鉛輸送タンパク質候補であるタンパク質群の遺伝子をヒト遺伝子バンクより同定し、それぞれの過剰発現ベクターを作成する。腎臓でのイオン選択性のモデルと比較検討する。
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Causes of Carryover |
胎盤における亜鉛トランスポーター同定研究を実施しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
腎臓と胎盤のモデルにおいて、銅、亜鉛、鉄イオン選択的取り込みを比較検討し、イオン選択的胎盤通過性の実験を行う。
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