2012 Fiscal Year Research-status Report
良好卵獲得を目指したヒト卵胞発育における脂質メディエーターの解析
Project/Area Number |
24592468
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩瀬 明 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (20362246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 真紀 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90378125)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 卵胞発育 / 顆粒膜細胞 / スフィンゴシン1リン酸 / コレステロール / FF-MAS |
Research Abstract |
当研究室で樹立したヒト不死化非黄体化顆粒膜細胞に、初期卵胞発育に重要な因子であるGrowth differentiation factor-9 (GDF-9)を添加し、マイクロアレイでコレステロール合成系にかかわる酵素群(HMGCS, HMGCR, SQLE, LSS, CYP51, SC4MOL)の増加をみとめた。定量的RT-PCRでも、GDF-9による上記酵素群の発現上昇を確認した。また、同じく卵胞発育促進にかかわるホルモンであるFSHを添加し、コレステロール合成系酵素発現増加に関し、GDF-9とFSHが相乗効果を有することを発見した。またヒト不死化非黄体化顆粒膜細胞細胞内でのコレステロール蓄積の増加を確認した。以上の結果はヒトの卵胞発育において、GDF-9, FSHといった主たる卵胞発育促進因子の下流で、コレステロール合成系が関与していることを示す初めてのデータである。 もうひとつの脂質メディエーターである顆粒膜細胞で産生されるスフィンゴ1リン酸 (S1P)は、autocrine, paracrineで顆粒膜細胞自身に作用している可能性がある。SIP添加により、ヒト不死化非黄体化顆粒膜細胞ならびに体外受精採卵時に得られた初代培養黄体化顆粒膜細胞の増殖が促進し、細胞増殖シグナルであるPI3K-Akt経路の活性化を確認した。またレセプターサブタイプ別の阻害剤を用いた研究により、S1Pの作用経路をレセプターサブタイプから細胞内シグナルまでを明らかにした。顆粒膜細胞のアポトーシスは卵胞閉鎖の主たる要因であるが、S1Pの添加により酸化ストレス(H2O2添加)による顆粒膜細胞のアポトーシスが抑制されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はヒト卵胞発育における脂質メディエーター(コレステロール合成系とその中間代謝産物ならびにスフィンゴシン1リン酸;S1P)の関与を解明することが目的である。平成24年度は主にインビトロでの発現解析、作用解析を、平成25年以降は平成24年で得られた知見をもとに、臨床検体を用いた発現解析と臨床結果との相関の解析ならびにモデル動物を用いたインビボの実験を行う予定であった。平成24年度は、インビトロの解析を一通り終えることができ、その目的は十分達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
卵の質が、受精後の胚の質や妊娠成立に強く影響していると推測されるため、卵の質に影響を及ぼす因子は、良好卵であることに加え、その後の良好な胚発育、妊娠成立の予測因子(マーカー)となる可能性がある。良好卵マーカーの探索は、移植胚の選択に重要な意味を持つ。我々は、個別の卵胞から選られた顆粒膜細胞のRNAおよび卵胞液を保存しており、それぞれ、その卵胞由来卵の受精の有無、受精後の胚のグレード、移植後の妊娠成立の有無のデータと関連づけられている。これらの保存検体を用い、定量的RT-PCRにて顆粒膜細胞中のS1P産生酵素であるsphk, コレステロール合成系酵素の発現を、卵胞液中のS1P濃度、コレステロール濃度、コレステロール合成系の中間代謝産物であり卵成熟に影響すると考えられているFF-MAS濃度を測定し、妊娠予後との相関を解析し、これら物質のマーカーとしての有用性を検証する。 卵巣機能低下モデルとして加齢マウス、抗がん剤(シクロフォスファミドなど)投与による卵巣機能不全モデルマウス、そして局所的な高アンドロゲン状態などの異常が卵胞発育や卵の質に影響を与えると考えられている多嚢胞性卵巣症侯群(PCOS)のモデルラットを用いる。PCOSモデルラットに関しては、我々はすでに浸透圧ポンプを用いたインスリンおよびRU486(プロゲステロンレセプターアンタゴニスト)の持続投与で作製、キャラクタリゼーションを行っている。具体的には前年度の実験で明らかとなったS1P増加因子、もしくはS1Pそのものを全身もしくは卵巣局所に投与し、それぞれのモデル動物について、コントロールと比較して卵巣の形態や顆粒膜細胞の生存を組織染色を用いて評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Sphingosine-1-phosphate inhibits H2O2-induced granulosa cell apoptosis via the PI3K/Akt signaling pathway2012
Author(s)
Nakahara T, Iwase A, Nakamura T, Kondo M, Bayasula, Kobayashi H, Takikawa S, Manabe S, Goto M, Kotani T, Kikkawa F.
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Journal Title
Fertility and Sterility
Volume: 98
Pages: 1001-8
DOI
Peer Reviewed