2013 Fiscal Year Research-status Report
良好卵獲得を目指したヒト卵胞発育における脂質メディエーターの解析
Project/Area Number |
24592468
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩瀬 明 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (20362246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 真紀 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90378125)
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Keywords | 卵胞発育 / 顆粒膜細胞 / スフィンゴシン1リン酸 / コレステロール / FF-MAS |
Research Abstract |
当研究室で樹立したヒト不死化非黄体化顆粒膜細胞に、初期卵胞発育に重要な因子であるGrowth differentiation factor-9 (GDF-9)を添加し、マイクロアレイでコレステロール合成系にかかわる酵素群(HMGCS, HMGCR, SQLE, LSS, CYP51, SC4MOL)の増加をみとめた。定量的RT-PCRでも、GDF-9による上記酵素群の発現上昇を確認した。また、同じく卵胞発育促進にかかわるホルモンであるFSHを添加し、コレステロール合成系酵素発現増加に関し、GDF-9とFSHが相乗効果を有することを発見した。また体外受精採卵時に得られたヒト黄体化顆粒膜細胞初代培養で上記酵素群の発現を解析し、妊娠群と非妊娠群の間で発現に有意差がある物質があることを確認した。これらのデータはヒトの卵胞発育においてコレステロール合成系が関与していることを示すとともに、良好卵の選別マーカーになりうることを示すものである。 もうひとつの脂質メディエーターである顆粒膜細胞で産生されるスフィンゴシン1リン酸(S1P)は、autocrine, paracrineで顆粒膜細胞自身に作用している可能性がある。SIP添加により、ヒト不死化非黄体化顆粒膜細胞ならびに体外受精採卵時に得られた初代培養黄体化顆粒膜細胞の増殖が促進し、細胞増殖シグナルであるPI3K-Akt経路の活性化を確認した。顆粒膜細胞のアポトーシスは卵胞閉鎖の主たる要因であるが、S1Pの添加により酸化ストレス(H2O2添加)による顆粒膜細胞のアポトーシスが抑制されることを見出した。これらのデータはS1Pが、加齢や卵巣毒性物質からの卵巣保護剤として使用できる可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はヒト卵胞発育における脂質メディエーター(コレステロール合成系とその中間代謝産物ならびにスフィンゴシン1リン酸;S1Pの関与を解明することが目的である。平成24年度は主にインビトロでの発現解析、作用解析をおこなったが、平成25年度は臨床検体を用いた発現解析と臨床結果との相関の解析を行うことができた。これは当初の予定通りである。また平成26年度は、上記物質の周辺物質への研究範囲の拡大と臨床応用をめざした動物実験を予定しているが、それらを実施可能にする知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
卵の質が、受精後の胚の質や妊娠成立に強く影響していると推測されるため、卵の質に影響を及ぼす因子は、良好卵であることに加え、その後の良好な胚発育、妊娠成立の予測因子(マーカー)となる可能性がある。良好卵マーカーの探索は、移植胚の選択に重要な意味を持つ。これまでの研究でコレステロール合成系酵素が、妊娠可能性の高い良好卵選別のマーカーになりうることが示された。同様の研究を行い顆粒膜細胞中のS1P産生酵素であるsphk, 卵胞液中のS1P濃度、コレステロール合成系の中間代謝産物FF-MASのマーカーとしての有用性を検証する。 卵巣機能低下モデルとして加齢マウス、抗がん剤(シクロフォスファミドなど)投与による卵巣機能不全モデルマウス、そして局所的な高アンドロゲン状態などの異常が卵胞発育や卵の質に影響を与えると考えられている多嚢胞性卵巣症侯群(PCOS)のモデルラットを用いる。PCOSモデルラットに関しては、我々はすでに浸透圧ポンプを用いたインスリンおよびRU486(プロゲステロンレセプターアンタゴニスト)の持続投与で作製、キャラクタリゼーションを行っている。具体的にはこれまでの実験で明らかとなったS1P増加因子、もしくはS1Pそのものを全身もしくは卵巣局所に投与し、それぞれのモデル動物について、コントロールと比較して卵巣の形態や顆粒膜細胞の生存を組織染色を用いて評価し、卵巣機能改善につながるかどうか検証する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] CYP51A1 Induced by Growth Differentiation Factor 9 and Follicle-Stimulating Hormone in Granulosa Cells Is a Possible Predictor for Unfertilization2014
Author(s)
Nakamura T, Iwase A, Bayasula B, Nagatomo Y, Kondo M, Nakahara T, Takikawa S, Goto M, Kotani T, Kiyono T, Kikkawa F
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Journal Title
Reproductive Sciences
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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