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2012 Fiscal Year Research-status Report

妊娠高血圧症候群における胎盤の脂質代謝バランスとその意義の解明

Research Project

Project/Area Number 24592469
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

巽 啓司  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (10324633)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 近藤 英治  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10544950)
小西 郁生  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90192062)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords妊娠高血圧腎症 / Preeclampsia / 酸化LDL / LOX-1 / Nrf2
Research Abstract

妊娠高血圧症候群(PIH)にあっては、①高脂血症(過酸化脂質増加)および②酸化ストレスの増大が重要な病態としてとらえられている。我々はこの2つの病態を分子レベルで解明することでPIHの治療につながる知見が得られるものと考えている。
まず、インフォームドコンセントを得て、ヒト胎盤(正常およびPIH)を収集し、脂質関連遺伝子(LOX-1、CD36、ABCA1、LXR)の発現を検討したところ、これら遺伝子のmRNA発現が有意に低下していた。LOX-1およびABCA1は蛋白発現も有意に低下していた。さらに絨毛組織を低酸素(1%酸素)で培養するとLOX-1のmRNAは発現低下した。
つぎに、PIHの胎盤における抗酸化ストレス遺伝子であるHO-1の発現を検討したところ、PIHの胎盤において有意にmRNA発現が低下していた。また、HO-1の発現を調節する転写因子Nrf2の活性を、ヒト胎盤から抽出した核蛋白において検討したところ、Nrf2の活性化はPIHの胎盤で有意に低下していた。
一方、絨毛細胞株であるJAR細胞にPIHの母体で増加する酸化LDLを添加すると、Nrf2の活性化(核内集積)およびHO-1の発現増強がみられた。ところが中和抗体によって、JAR細胞における酸化LDL受容体(LOX-1)の機能を阻害したうえで酸化LDLを添加すると、Nrf2の活性化は有意に抑制された。
PIHの胎盤においては、過酸化脂質(酸化LDL)受容体であるLOX-1の発現が低下し、そのために酸化LDLによるNrf2の活性化が生じにくくなっていることが示唆された。このことはPIHにおける酸化ストレスの増大の一因となっている可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度は、①脂質代謝関連分子の発現プロファイル検討、②脂質代謝関連分子の発現と臨床データとの関連の解析、③低酸素・酸化ストレスによる酸化LDL受容体の発現変化の検討、をそれぞれ研究実施計画として策定していたが、これらのうち①および②に関してはほぼ計画通りに研究が遂行された。また③については低酸素環境によって酸化LDL受容体の発現が低下するという知見を得ることができた。ここまでの研究成果はThe Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism(2012)において発表した。
一方、②のうち、母体血中の各種脂質(総コレステロール、HDL、LDL、中性脂肪など)の調査は現在解析中であり、また③の酸化ストレス環境における脂質関連分子の発現変化の検討も、現在進行中である。
上記の通りであるから、研究計画はおおむね順調に進展していると判断される。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度の研究成果をふまえ、平成25年度は以下のように研究を推進する計画である。
①ヒト絨毛細胞培養系にPIH母体で増加する酸化LDLを添加し、細胞の増殖、酸化ストレス(ROS産生)、抗酸化ストレス遺伝子の発現などの変化をそれぞれ検討する。
②さらに同培養系においてPIHの胎盤で活性が低下しているNrf2のノックダウンを行い、そのうえで酸化LDLを添加するなどの酸化ストレスを付加し、アポトーシスの程度、脂質代謝関連遺伝子の発現、抗酸化ストレス作用のあるグルタチオン産生、などについて定量的に検討する。
③PIHの胎盤で発現が低下している、脂質排出遺伝子ABCA1について、絨毛細胞培養系においてノックダウンを行い、絨毛細胞における脂質代謝に与える影響を検討する。
上記の計画により、胎盤における脂質代謝、酸化ストレス防御機構を明らかにすることが、PIHの病態の解明につながるものと考察される。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Decreased lectin-like oxidized LDL receptor 1 (LOX-1) and low Nrf2 activation in placenta are involved in preeclampsia2012

    • Author(s)
      Chigusa Yoshitsugu
    • Journal Title

      The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism

      Volume: 97 Pages: 1862-1870

    • DOI

      10.1210/jc.2012-1268

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Disruption of Nrf2 signaling due to decreased expression of lectin-like oxidized LDL receptor 1(LOX-1) is involved in preeclampsia2012

    • Author(s)
      Chigusa Yoshitsugu
    • Organizer
      18th International Federation of Placenta Associations Meeting
    • Place of Presentation
      Hiroshima
    • Year and Date
      20120918-20120921
  • [Presentation] Preeclampsiaの胎盤では、転写因子Nrf2(NF-E2-related factor2)の活性が低下している2012

    • Author(s)
      千草義継
    • Organizer
      第64回日本産科婦人科学会学術講演会
    • Place of Presentation
      神戸市
    • Year and Date
      20120413-20120415

URL: 

Published: 2014-07-24  

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