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2012 Fiscal Year Research-status Report

子宮筋腫におけるX染色体のエピジェネティクス変異機構の解析

Research Project

Project/Area Number 24592471
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

佐藤 俊  山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10534604)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords子宮筋腫 / DNAメチル化 / X染色体不活性化 / バイオマーカー
Research Abstract

筋腫の発生・進展の機序に,X 染色体不活性化の破綻によるX染色体上の遺伝子の発現異常,あるいはX染色体不活性化に関わる因子の機能異常が関与する可能性を考え,筋腫で共通して低メチル化変異を呈する遺伝子の検索,およびX染色体不活性化の異常に関わる因子の特定の2点について検証する。平成24年度は前者の検証を行った。
1.筋腫で低メチル化変異を呈するX染色体上の遺伝子候補の選出:3検体の同一症例から採取した子宮筋腫組織と正常子宮筋のゲノムワイドDNAメチル化解析データを利用し,筋腫でメチル化率が30%以上低い遺伝子を抽出することで,3検体で共通して低メチル化状態にある11遺伝子を候補として選出した。
2.筋腫特異的低メチル化候補遺伝子の多症例におけるメチル化解析:1.で選出した遺伝子のメチル化状態を多症例で解析し、筋腫で共通して低メチル化変異を呈する遺伝子を特定する。多検体におけるメチル化解析を簡便に出来るCOBRA法を用いて,選出した11遺伝子について22症例の筋腫と筋層のメチル化状態を比較した。その結果,それぞれ約75%および60%の筋腫検体で低メチル化変異を呈する2つの遺伝子領域を特定した。
3.筋腫特異的低メチル化候補遺伝子の発現解析:メチル化状態と発現の相関をみるため,2.で同定した筋腫特異的低メチル化遺伝子のmRNAの発現をRT-PCRで解析した。その結果,低メチル化状態にある筋腫でこれらの遺伝子は必ずしも高発現しておらず,これらの領域のDNAメチル化は遺伝子発現に関与しないことが示唆された。
以上の結果は,X染色体上の低メチル化変異遺伝子の発現異常が,筋腫の発生・進展の機序に関与するという仮説が成立しないことを示唆している。一方,目的の一つであった筋腫のバイオマーカーの同定については,75%および60%の症例で共通する2つの低メチル化変異遺伝子を得ることが出来た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度に目的とした筋腫で共通して低メチル化変異を呈するX染色体上の遺伝子の特定については,75%および60%の筋腫検体で共通して低メチル化変異を呈する2つの遺伝子を得ることが出来たので,ある程度目的は達せられたと評価している。これらの遺伝子のメチル化状態が発現制御に関与していなかったことは予想外だったが,これらの領域のメチル化状態は現存するもっとも有効な筋腫のバイオマーカーであるMED12遺伝子の突然変異と同程度の精度で,筋腫と筋層を区別するマーカーとして利用できる。これらの領域のメチル化状態は筋腫の診断マーカーとしての臨床利用のみならず,筋腫発生・進展の機序解明を目指した培養あるいは異種移植系を用いた筋腫発症モデルの確立においても筋腫化の評価マーカーとして有用と考えられる。

Strategy for Future Research Activity

子宮筋腫においてX染色体不活性化異常に関わる分子の特定
1.不活性型X染色体マーカーの局在を指標にした,筋腫におけるX染色体不活性化の異常に関与する分子候補の選出:ゲノムワイド解析を行った3症例の筋腫と筋層検体で凍結切片を作成し,複数の不活性型X染色体マーカーの免疫染色およびXIST RNA FISHのそれぞれを行い,染色像を比較する。それらマーカーの局在の違いから筋腫においてX染色体不活性化機構で異常が生じた過程を推測する。さらに異常の生じた過程から機能異常を起こした分子の候補を選出する。
2.X染色体不活性化機構の異常に関与する候補分子の発現および機能解析:1.で選出した候補分子について,複数症例の筋腫と筋層組織でmRNAの発現量をRT-PCRにより比較し,筋腫特異的に発現が増減する分子を選出する。さらに抗体が存在する分子については,WBと免疫染色を行い,タンパクの量とサイズおよび細胞内での局在を比較する。それらの結果をもとに筋腫・筋層間で差異のみられるものを候補分子として絞り込み,機能解析を行う。機能解析は不死化子宮平滑筋細胞株と強制発現ベクターを使用した系で,候補分子の過剰発現あるいはshRNAを利用した機能阻害の影響をみる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

1.当該助成金が生じた状況:次年度使用額(B-A)123万円が生じた最大の理由は,平成24年度に設備備品で購入予定であったApplied Biosystems社のVeriti 96-wellサーマルサイクラー(98万円)を購入しなかったためである。それに関しては同備品の次年度での購入を検討している。また,残りの未使用金は国内学会旅費および物品費の一部を次年度に使用するよう変更したために生じた。
2.使用計画
(1)消耗品費;DNA・RNA抽出試薬およびPCR用試薬,Bisulfite sequencing用試薬,ヒト培養細胞,抗体・プローブ,実験試薬・実験器具,Transfection試薬
(2)設備備品費;Veriti 96-wellサーマルサイクラー
(3)旅費;日本エピジェネティクス研究会,日本繁殖生物学会,日本生殖内分泌学会

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Changes in Histone Modification and DNA Methylation of the StAR and Cyp19a1 Promoter Regions in Granulosa Cells Undergoing Luteinization during Ovulation In Rats2013

    • Author(s)
      Lee L
    • Journal Title

      Endocrinology

      Volume: 154 Pages: 458-470

    • DOI

      doi: 10.1210/en.2012-1610

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ヒトESR1の発現制御に関与する組織特異的DNAメチル化可変領域の同定2012

    • Author(s)
      佐藤俊
    • Organizer
      第6回日本エピジェネティクス研究会年会
    • Place of Presentation
      東京・学術総合センター
    • Year and Date
      20120514-20120515

URL: 

Published: 2014-07-24  

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