2014 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症性卵巣嚢胞からの悪性転化組織を用いた遺伝子変異と異常発現の解析
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24592480
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
北脇 城 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00204925)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 産婦人科学 / 生殖医学 / 子宮内膜症 / 卵巣癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症性卵巣嚢胞は良性腫瘍であるが、その0.7~1.6%が悪性転化して卵巣癌を発生する。しかし、これに伴う分子機構についてはあまり研究が進んでいない。そこで、悪性転化により生じた卵巣癌組織の同一切片内の内膜症、移行部、悪性の各組織をマイクロダイセクションにより切り出した。抽出したDNAはごく微量であるので、目的の遺伝子をnested PCRにより増幅し、GeneScanにより塩基配列を解析した。 解析対象遺伝子は、従来変異が報告されているPTEN、TP53、K-rasとこれ以外に数種の癌遺伝子および癌抑制遺伝子であった。しかし、これらの癌関連遺伝子の変異は2例の癌組織で認められたのみであった。このことから、癌関連遺伝子の変異は多くはなく、むしろその近傍のLOHが悪性転化に関与することが示唆された。 蛍光ラベルしたマイクロサテライト・マーカーを用いてキャピラリー電気泳動を行い、LOHを解析した。まず、癌遺伝子近傍の領域の13種類のマイクロサテライト・マーカーを用いて分析したところ、31ヶ所のLOHを検出し、うち18ヶ所は癌組織のみに認められた。染色体9p、10q、および13qには高頻度にLOHが認められた。2種類のLOHパターンが検出された。パターンⅠは、癌においてのみLOHが検出され、子宮内膜症や移行部では認められなかった。パターンⅡは、同じLOHが癌,移行部,子宮内膜症,間質組織のいずれにおいても検出された。癌遺伝子近傍の領域のLOHが高頻度であることから、従来あまり知られていなかった遺伝子変異が検出できる可能性が高い。マイクロサテライト・マーカーの種類をさらに増やし解析する計画である。
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