2013 Fiscal Year Research-status Report
Urocortin2の子宮内膜症における発現と病態への関与の解析
Project/Area Number |
24592490
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
明樂 重夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (40231849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 崇宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40366654)
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Keywords | ウロコルチン2 / 子宮内膜症 |
Research Abstract |
子宮内膜症におけるウロコルチン2 (Ucn 2) 測定の臨床的意義を探るため、昨年度に引き続きラットを用いた正常子宮におけるUcn 2の発現動態の解析を行った。卵巣摘除ラットへのエストロゲンの補充により子宮でのUcn 2 mRNA発現量と組織含量が低下した。同様の発現量の低下はエストロゲン受容体αアゴニストによりもたらされたが、エストロゲン受容体βアゴニストでは変化が無かったことから、エストロゲンによるUcn 2発現の抑制はエストロゲンα受容体を介した反応であることが明らかになった。Ucn 2は子宮のみならず肺や骨格筋、副腎などでもみられるがエストロゲンによる発現抑制は子宮特異的であることも明らかになった。 Ucn 2はCRF-R2の特異的リガンドであり、CRF-R2は子宮においてもその発現がみられる。Ucn 2と異なり、子宮のCRF-R2発現量は加齢や性周期、卵巣除去、エストロゲンの補充による変化はみられなかった。以上の結果より、子宮のUcn 2 mRNA発現量と組織含量はエストロゲンによって抑制されること、子宮におけるUcn 2-CRF-R2はリガンドであるUcn 2の量的変化が重要であることが明らかになり、J. Endocrinology誌に発表した。 子宮内膜症患者におけるUcn 2のmRNA発現量の解析では、正所性内膜、卵巣チョコレート嚢胞病変、腹膜病変と子宮筋腫患者における正所性内膜や筋腫病変における発現量との間に有意な差は見いだせていない。今後、検体数を増やし解析を進める予定である。血漿および腹水のUcn 2濃度を測定するため血漿、腹水などのサンプルを収集・蓄積し、解析の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットにおけるウロコルチン2の子宮内膜腺管上皮での発現がエストロゲンにより影響を受けている事、そしてその影響がエストロゲン受容体αを介した反応であることを明らかにできたことにより、研究対象をヒトに発展させることが可能となった。子宮内膜症の手術検体、血液検体も順調に集まってきており、すでにEIAによる血中ウロコルチン2のpreliminaryな解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜症患者におけるUcn 2 mRNA発現調節へのエストロゲンの関与と性周期ごとの発現量の変化および組織含量、血漿濃度の比較を行い、子宮におけるUcn 2の発現・分泌調節機序を明らかにする予定である。さらに多くの子宮内膜症患者の正所性内膜組織および病変組織、血漿、腹水のサンプルでmRNA発現量や組織含量、血漿や腹水中の濃度の測定行い、病期や進行度、投薬治療の前後、術前術後での比較を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究はおおむね順調に進んでいるが、人件費および物品費が予想よりも少額で済んだ。また、国際学会での発表を今年度は見送ったことにより、旅費が見込みより少額となった。 次年度、検体数を増やし、その解析に要する人件費、物品費などに廻す予定である。また、国際学会発表や論文作成費にも支出が見込まれる。
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