2014 Fiscal Year Annual Research Report
Urocortin2の子宮内膜症における発現と病態への関与の解析
Project/Area Number |
24592490
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
明樂 重夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (40231849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 崇宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40366654)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / ウロコルチン2 / 病態生理 / 発現調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症の病態におけるurocortin 2 (Ucn 2) の役割を検討することを目的に、ラット子宮におけるUcn 2発現調節機構とヒト子宮内膜症患者の血清と腹水中のUcn 2濃度の測定を行った。昨年度までにラット子宮のUcn 2は腺細胞に多く発現し、その発現はエストロゲンにより負に調節されることを明らかにした。最終年度では、インフォームドコンセントを得た患者より血清と術中に腹水を採取し、Ucn 2濃度の測定を行った。対照は子宮筋腫患者とした。なお、研究計画ではヒトUcn 2測定系の確立を目指すと記したが、ELISAキットを検討したところ、検出感度、再現性共に十分に利用できたのでこれを使用した。血中Ucn 2濃度は子宮筋腫患者(13例)、I期の子宮内膜症患者(3例)、III期以上の子宮内膜症患者(25例)でいずれの群間でも統計学的な差は、見られなかった。一方、腹水中のUcn 2濃度はI期の子宮内膜症患者では14.2 ± 6.3 pg/ml (mean ± sem) であったのに対し、III期以上の子宮内膜症患者では57.54 ± 10.6 pg/mlと高く、子宮筋腫患者の34.75 ± 3.9 pg/mlと比べても高かった。I期子宮内膜症や子宮筋腫患者では血中と腹水中でのUcn 2の濃度に差は見られなかったが、III期以上の子宮内膜症患者では、全症例において腹水中の濃度が血中に比べ平均で6.7 ± 1.3倍と有意に高かった。我々は子宮内膜症組織にてUcn2mRNAの発現を認めていることから、腹腔内の子宮内膜症病変が腹水中Ucn2の主たる産生部位であり、Ucn2が子宮内膜症の進展に何らかの関与をしていることが示唆された。また、GnRHアゴニストや低用量ピルの投与歴やその期間などで腹水中Ucn 2濃度に影響が現れてくるか、さらに症例数を増やし検討する必要があると思われた。
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