2012 Fiscal Year Research-status Report
化学療法抵抗性子宮内膜癌へのKeap1遺伝子導入治療
Project/Area Number |
24592500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉永 浩介 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (40343058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 智 東北大学, 大学病院, 准教授 (00292326)
高野 忠夫 東北大学, 大学病院, 特任教授 (40282058)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / 化学療法抵抗性 / Keap1遺伝子 / Nrf2遺伝子 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
Keap1とNrf2遺伝子産物は共同で生体の酸化ストレスを和らげ解毒作用を助けている。両遺伝子の持つ遺伝子異常やSNPsがこの生体反応に影響し各種の癌化メカニズムに寄与していることがわかってきた。そこで、Keap1遺伝子導入の前にKeap1遺伝子の変異やSNPsが子宮内膜癌の化学療法抵抗性にどの程度影響するかを検討した。子宮内膜癌105例の手術検体を用い、Keap1遺伝子とNrf2遺伝子のシークエンスを行った結果Keap1遺伝子変異9例、Nrf2遺伝子変異3例が見つかった。両遺伝子が同時に変異している症例は無く、子宮体癌組織でこれらの遺伝子変異が検出される割合は11.4%であった。臨床病理学的諸因子とこれらの遺伝子変異を比較したが、遺伝子変異と予後には特に関係性は見いだせなかった。さらにKeap1遺伝子に2か所SNPsを見つけた。そのうちKeap1-rs1048290(c.1413C>G)のSNPは子宮体癌の無病生存率を優位に低下させ、化学療法抵抗性に関与することが示唆された。一方、Keap1-rs11545829(c.1611C.T)のSNPは予後には関係しなかった。子宮体がん細胞株を用いてKeap1やNrf2遺伝子配列を検討したところ、手術検体と同じSNPを発見したことから、子宮体癌の癌化過程や化学療法抵抗性に深く関わることが示唆された。本年度の研究から、Keap1遺伝子導入にさいしては、遺伝子感受性の良いSNPを選んで導入することが重要であることがわかった。遺伝子の生理機能には遺伝子の持つSNPsが関与することが言われているが、今回の研究は基礎研究としてKeap1遺伝でも同様のことがあることを示唆した初めての研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Keap1遺伝子SNPsの子宮内膜癌を用いた機能評価ができ遺伝子導入の準備が整ったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
SNPを有するKeap1遺伝子とluc遺伝子を導入した子宮内膜癌細胞株を作成し、免疫不全マウスの腹腔内に移植する。移植後に、あらかじめ準備しておいた正常Keap1遺伝子を導入したアデノウイルスを、内膜癌細胞を移植した免疫不全マウスの腹腔内へ投与する。その後シスプラチン・アドリアマイシンなど子宮内膜癌治療に標準的に用いられている化学療法剤を添加しマウス生存中にin vivo imagingを行い、正常な遺伝子導入せず内膜癌細胞株を移植して化学療法添加したマウスと比較する。その後、マウス腹腔内腫瘍の性状観察をマクロおよびミクロで行い、PCRを用いて腫瘍細胞へのKeap1正常遺伝子導入を確認する。 25年度の動物実験でのin vivo実験の結果の解析・報告ののちに本研究に対する世界的な評価を客観的に振り返ったのち、ヒトでの遺伝子導入治療の臨床応用の検討を開始して27年度以降の実施に向けての準備を行う。具体的には、in vivo試験の知財獲得、論文化、ヒトへの遺伝子導入試験のデザイン検討および倫理委員会での検討準備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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