2013 Fiscal Year Research-status Report
子宮体癌におけるCRP単一塩基多型とリンパ管侵襲・リンパ節転移との関連
Project/Area Number |
24592501
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤本 俊郎 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (20375249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 直樹 秋田大学, 医学部, 講師 (40447199)
清水 大 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60400503)
佐藤 敏治 秋田大学, 医学部, 助教 (70636183)
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Keywords | 子宮体癌 / CRP単一塩基多型 / リンパ管侵襲 / リンパ節転移 |
Research Abstract |
子宮体癌の標準術式は準広汎子宮全摘術・両側付属器摘出術・系統的後腹膜リンパ節郭清術(SLND)である。しかしながら、SLNDを施行することにより、麻酔時間の延長、同種血輸血頻度の上昇、下肢・下腿・下腹部の浮腫、リンパ嚢胞による血栓症・神経圧迫症状などを来たす事が報告されている。このためSLNDは、リンパ節転移の可能性がある症例にのみ施行し、リンパ節転移のない症例には省略すべきである。 最近、胸部食道扁平上皮癌患者において、C-reactive protein(CRP)の単一塩基多型(SNP) 1846 C>Tとリンパ節転移との間に有意な相関を認めたと報告された。同じ固形癌である子宮体癌においてもCRP-SNP 1846 C>Tとリンパ節転移の有無に関連が認められる可能性が高い。子宮体癌においては、リンパ節転移の有無と最も関連する因子はリンパ管侵襲である。 我々は本研究を開始するに当たり、144症例の子宮体癌患者のCRP-SNP 1846 C>Tの遺伝子解析を行い、CRP-SNP 1846 C>Tと脈管侵襲との間に関連性があることを報告した。しかしながら、CRP-SNP 1846 C>Tと骨盤リンパ節(PLN)転移の有無との間には統計学的有意差は得られなかった。その原因としてPLN転移の有無とCRP-SNP 1846 C>Tの関連を検討するには症例数が少なかったためと考えられる。このため、更に症例数を増やしCRP-SNP 1846 C>Tと骨盤リンパ節(PLN)転移の有無を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規に診療した子宮体癌症例を更に研究対象として蓄積し、累積された子宮体癌患者のCRP-SNP 1846 C>Tの遺伝子解析を重ねた。CRP-SNP 1846 C>Tと脈管侵襲・リンパ節(PLN)転移との関連性を追加検証している。しかしながら、結果としての関連傾向は強まるものの、多変量解析においては、確固たる統計学的有意差を未だ証明し得ていない。 当初の研究計画自体については遅れをほぼ挽回しつつあるが、子宮体癌の進行・進展の要因に関しては多因子の関与が明らかとなりつつあり、更なる遺伝学的要素を加味した研究手法を組み入れる必要性を感じている。後述の推進方策を講じ、臨床的に有意義な研究方法の改善を模索している。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮体癌にはType1とされるホルモン依存性の発癌と、Type2とされるホルモン非依存性のde novo発癌が知られている。Type1は若年者に多く高分化癌で比較的に予後が良好であるが、Type2は高齢者に多く低分化癌で予後不良な場合が多い。また、子宮体癌には散発性の発癌とは別に、Lynch症候群として取り扱われるミスマッチ修復遺伝子異常をもつ常染色体優性遺伝の家族性発癌が知られている。これらの発癌要因の差違を因子として加味した分析と解析を行うことにより、より少数の対象例において、有意な群間傾向を抽出・検証し得るのではないかとの追加考察に至った。 現在は、年齢、組織学的分化度、予後、ミスマッチ修復蛋白の発現、等についても分析因子として加え、検証と解析を急いでいる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担者配分分で若干の繰り越しが発生した。 前述の研究計画と推進方策に従い実験試料・消耗品購入する。また、情報収集や発表のため各関連学会へ積極的に参加する。
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