2014 Fiscal Year Research-status Report
婦人科悪性腫瘍に対する新規治療法の開発:子宮平滑筋肉腫の生物学的応答性の解析
Project/Area Number |
24592510
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
林 琢磨 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (60359726)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | LMP2 / 子宮平滑筋肉腫 / 子宮間葉系腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮平滑筋肉腫(子宮肉腫)は、再発・転移を繰り返す難治性腫瘍である。人種を問わず成人女性の多くに発症する子宮平滑筋腫(子宮筋腫)と子宮肉腫の判別が極めて難しい場合もある。画像診断の技術は日々進歩しているが、MRI等の画像診断では、子宮肉腫は子宮筋腫と区別しにく場合もある。現在まで、子宮肉腫への治療法は外科的手法に限定されているが、多くの場合、再発や転移が認められる。そのため、延命効果が認められる分子標的治療法の確立が要望されている。 これまで、私達は、プロテアソーム構成因子LMP2の欠損マウスで、子宮肉腫が高頻度に自然発症することを報告した(利根川 進 教授 MITの研究協力)。そこで、私達は、病理ファイルより選別された各種子宮間葉系腫瘍の生検組織でのLMP2の発現状況について免疫組織化学染色により検討し、特異的に子宮肉腫でLMP2の発現が著しく減弱することを報告した。提携医療機関との連携の基、私達は、LMP2に着目したDNA MicroArrayの遺伝子プロファイリングを行い、子宮間葉系腫瘍に対する標的分子の探索を行っている。培養細胞を用いた実験解析系と手術摘出組織を用いた実験系をもとに分子生物学的解析、病理組織学的解析により得られた研究成果より、血管形成に関与するカベオリンが子宮間葉系腫における特異的マーカーおよび治療標的分子の候補因子となる可能性を含む組織学的解析結果が得られている。現在、私達は、各種子宮間葉系腫瘍におけるカベオリンの発現状況と発現機序について分子生物学的解析を行っている。本研究で、私達は、カベオリンやLMP2を含む複数の候補因子における子宮間葉系腫瘍に対する診断や治療に向けた標的分子としての可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私達は、プロテアソーム構成因子LMP2の欠損マウスで、子宮肉腫が高頻度に自然発症することを報告した(利根川 進 教授 MITの研究協力)。そこで、私達は、病理ファイルより選別された各種子宮間葉系腫瘍の生検組織でのLMP2の発現状況について免疫組織化学染色により検討し、特異的に子宮肉腫でLMP2の発現が著しく減弱することを報告した。提携医療機関との連携の基、私達は、LMP2に着目したDNA MicroArrayの遺伝子プロファイリングを行い、子宮間葉系腫瘍に対する標的分子の探索を行っている。現在までの研究成果より、血管形成に関与するカベオリンが子宮間葉系腫における特異的マーカーおよび治療標的分子の候補因子となる可能性を示す組織学的解析結果が得られている。現在、私達は、各種子宮間葉系腫瘍におけるカベオリンの発現状況と発現機序について分子生物学的解析を行っている。本研究で、私達は、カベオリンやLMP2を含む複数の候補因子における子宮間葉系腫瘍に対する診断や治療に向けた標的分子としての可能性を見出した。2014年度において、私達は、本研究事業により得られた研究成果を論文19報に報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
私達は、遺伝子プロファイリングの結果をもとに手術摘出組織について分子生物学的解析と病理組織学的解析を行ったところ、LMP2やカベオリンなどが子宮間葉系腫瘍、特に子宮平滑筋肉腫において特徴的に発現していることを見出した。子宮間葉系腫瘍に対する新規診断・治療法の開発にむけて、今後、私達は、子宮間葉系腫瘍、特に子宮平滑筋肉腫における、LMP2やカベオリン因子の分子生物学的性質について、分子生物学的解析と病理組織学的解析によりさらに詳細に検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成24年度~平成26年度までの3年間で、新規診断法と治療法の確立をめざし、ヒト子宮間葉系腫瘍の生物学的性質の解析を行い、国際学術専門誌に41報報告を行った。研究目的の初期段階が予定よりも早期に纏まり、未使用額が生じた。同時に、研究成果を国際学会やシンポジウムで発表する予定であったが、日本国と近隣諸国との国際状況の悪化や近辺国内の治安悪化に伴い海外への渡航を差し控えた結果、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①新規診断法と治療法の確立をめざし、これまでの研究により選定されたヒト子宮間葉系腫瘍の標的分子の生物学的性質についてさらなる詳細な解析を行うと伴に、②研究成果を国際学会やシンポジウム等で積極的に発表を今後行うこととし、未使用額はこれらの経費に充てることとしたい。
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Remarks |
現在まで、私達は、子宮組織での実験によって、ヒト子宮LMSでのLMP2発現の欠損の原因を追究すると、IFN-γ経路、特にJAK-1体細胞突然変異がLMP2の転写活性化に及ぼす特異的作用へと導くことがわかった。さらに、私達は、ヒト子宮LMS細胞株の解析により、LMP2が子宮筋層の悪性転換と細胞周期に重要な生物学的役割を担うことが明らかになり、LMP2が抗腫瘍活性をもつ可能性について報告を行っている。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] The identification of somatic mutations in Interferon-g; signaling molecules in human uterine leiomyosarcoma2014
Author(s)
Hayashi T, Horiuchi A, Sano K, Hiraoka N, Ichimura T, Ishiko O, Kanai Y, Yaegashi N, Shiozawa T, Aburatani H, Ikuo Konishi I
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Journal Title
Jokull Journal
Volume: 64
Pages: 1-20
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 子宮平滑筋肉腫:造腫瘍化と老化2014
Author(s)
林 琢磨, 堀内 晶子, 塩沢 丹里, 石河 修, 八重樫 伸生, 利根川 進, 小西 郁生
Organizer
第56回日本婦人科腫瘍学会
Place of Presentation
栃木県総合文化センター、宇都宮、栃木県
Year and Date
2014-07-17 – 2014-07-19
Invited
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[Presentation] 子宮間葉系腫瘍に対する新規バイオマーカーの探索2014
Author(s)
林 琢磨, 堀内 晶子, 塩沢 丹里, 石河 修, 八重樫 伸生, 利根川 進, 小西 郁生
Organizer
第2回 婦人科がんバイオマーカー研究会学術集会
Place of Presentation
東京慈恵医科大学、港区、東京都
Year and Date
2014-07-05 – 2014-07-05
Invited
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[Book] Current Research in Cancer2014
Author(s)
Hayashi T, Horiuchi A, Sano K, Hiraoka N,Kasai M, Ichimura T, Nagase S, Ishiko O, Kanai Y, Yaegashi N, Aburatani H, Shiozawa T, Tonegawa S, Konishi I
Total Pages
24
Publisher
Research Media
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