2012 Fiscal Year Research-status Report
婦人科がんと周囲微小環境を標的とした複合的がん免疫療法の開発
Project/Area Number |
24592512
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 清住 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90335026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶山 広明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00345886)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌免疫療法 / 癌微小環境 / ペプチドワクチン |
Research Abstract |
卵巣明細胞腺癌をターゲットとしたGlypican-3(GPC3)ペプチドワクチン療法の臨床試験はほぼ目標の症例数を達成しており、注射局所の発赤以外には重篤な有害事象も認めておらず、順調に進んでいる。臨床効果としては現在31例が評価可能な6回投与を終了しており、寛解群21例では進行期2期と3期の症例の計2例のみが再発したがその他無病生存している。また、進行群、併用群10例中3例(NC1例、PR2例)で臨床的効果を認めた。腫瘍マーカー下降は10例中8例にて認めた。免疫学的解析にてもEx vivo IFNγELISPOTアッセイを用いた免疫学的モニタリングでは31症例中29症例(寛解群21例、化学療法併用群3例および進行群7例)において免疫学的有効性が確認できたことから我々の行っているペプチドワクチン療法の免疫学的有効性が確認された。GPC3特異的CTLの樹立も行い、すべてDextramerを用いたFACS再解析で、ほぼ100%GPC3デキストラマー陽性のGPC3ペプチド特異的CD8陽性キラーT細胞であり、卵巣明細胞腺癌細胞株KOC-7Cに対する殺細胞効果を認めた。以上の成果から、今後の細胞免疫治療への応用の可能性も明らかとなった。癌微小環境に関する解析では大網組織より得られた腹膜中皮細胞、繊維芽細胞において癌細胞との共培養を行い、上皮間葉転換を確認し、さらにマイクロアレイによる解析結果からCXCR4、fibronectin、IGF、CD44、CD29などの発現亢進を認め、また、EMT関連因子であるsnail、ZEB-1の発現亢進をも確認し、今後の免疫治療のターゲットのひとつとなり得るという研究成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床試験はほぼ目標を達成しており、注射局所の発赤以外には重篤な有害事象も認めておらず、順調に進んでいる。免疫解析にてもEx vivo IFNγELISPOTアッセイを用いた免疫学的モニタリングでは31症例中29症例(寛解群21例、化学療法併用群3例および進行群7例)において免疫学的有効性が確認できたことから我々の行っているペプチドワクチン療法の免疫学的有効性が確認された。ワクチン投与前に比べ、ワクチン投与後でGPC3特異的CTLが末梢血中に増加していた。GPC3特異的CTLの樹立も行い、すべてDextramerを用いたFACS再解析で、ほぼ100%GPC3デキストラマー陽性のGPC3ペプチド特異的CD8陽性キラーT細胞であり、今後の細胞免疫治療への応用の可能性も明らかとなった。癌微小環境に関する解析もほぼ予定どおり進んでいる。大網組織より得られた腹膜中皮細胞は卵巣癌のニッチとしての機能を有することが確認されつつあり、また、EMT関連因子であるsnail、ZEB-1の発現亢進をも確認し、今後の免疫治療のターゲットのひとつとなり得るという研究成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
癌微小環境をターゲットとした免疫療法の臨床応用を視野に入れる際、免疫療法の今後の課題である負の制御としての免疫寛容機構に対する治療が必要になるが、その点に関し、腹膜中皮細胞性ニッチ-がん幹細胞間のサイトカイン、増殖因子(TGF、VEGF、IGF、など)、ケモカイン(SDF-1など)、接着分子(カドへリン、カテニンなど)、細胞外マトリックス(フィブロネクチン、ヒアルロン酸など)などのシグナルを各種中和抗体、siRNAなどの抑制系の併用により各種抗がん剤耐性の変化とアポトーシス関連蛋白の発現を検討する。免疫抑制性細胞(制御性T細胞(Treg、CD4+CD25+FOXP3+)、抑制性ミエロイド細胞(MDSC)、寛容性DCなど)の誘導に対するがん幹細胞と腹膜中皮細胞のinteractionの検討として。Transwell の下層にまずヒト腹膜中皮細胞をコートした後に下層に3群の各がん細胞、上層にヒト末梢血単核球(PBMC)を播種し、共培養にて免疫に関与する血球細胞の生細胞数および免疫抑制性細胞の頻度などFACSを用い確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の中心的な位置をしめる内容がペプチド同定とそのペプチドを用いた臨床試験である、特に臨床試験においては相当量のペプチド合成やアジュバントの投与が必要になるため、試薬代として計上する。また併用する分子標的薬の候補である、IDO阻害剤である1-MTやCXCR4中和抗体である、MD3100も動物実験も含めて相当量必要である。また、ELISPOT法、tetramer analysisなどの免疫反応のモニタリングに使用する試薬代についても計上した。 また本研究において多数の卵巣がん細胞株や末梢血単核球を繰り返し培養するため、大量の培養液と血清が必要となる。また、細胞機能実験ではshRNAの作製や効率的に遺伝子発現を行うための導入キットを必要とする。幹細胞表面マーカーの同定の研究においてはターゲットに対する抗体が必要であり、細胞分離に、セルソーターによる分離に併用して、MACS(Magnetic sorting system)を使用するが、キットや抗体や磁気ビーズが高価である。またマイクロアレイによる遺伝子解析も予定しておりこれらを試薬代として計上した。癌幹細胞とニッチとの相互作用の研究における浸潤能実験においては細胞外マトリックスコーティングディッシュやMatrigel chamberを使用するための関連物品への予算も考慮している。 動物実験はペプチド抗原の同定、幹細胞ニッチの同定などで行い、本研究の重要な位置づけにあるが、ヌードマウス(4500-5000円/匹)が年間で300-400匹程度使用することを試算している。また、研究成果報告のための旅費を計上した。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] ALX1 induces snail expression to promote epithelial-to-mesenchymal transition and invasion of ovarian cancer cells.2013
Author(s)
Yuan H, Kajiyama H, Ito S, Yoshikawa N, Hyodo T, Asano E, Hasegawa H, Maeda M, Shibata K, Hamaguch M, Kikkawa F, Senga T.i
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Journal Title
Cancer Res
Volume: 73 (5)
Pages: 1581-1590
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Diagnostic utility of CD117, CD133, SALL4, OCT4, TCL1 and glypica-3 in malignant germ cell tumors of the ovary.2012
Author(s)
Trinh DT, Shibata K, Hirisawa T, Umezu T, Mizuno M, Kajiyama H, Kikkawa F.
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Journal Title
J Obstet Gynaecol Res.
Volume: 38 (5)
Pages: 841-848
DOI
Peer Reviewed
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