2013 Fiscal Year Research-status Report
婦人科がんと周囲微小環境を標的とした複合的がん免疫療法の開発
Project/Area Number |
24592512
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 清住 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90335026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶山 広明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00345886)
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Keywords | 癌免疫療法 / ペプチドワクチン / 臨床試験 / 癌微小環境 |
Research Abstract |
研究初年度より施行している難治性卵巣がんである明細胞腺癌をターゲットとしたGlypican-3(GPC3)ペプチドワクチン療法の臨床第II相試験を継続している。現在までに61症例に治療を行ったが、注射部位の局所反応以外には副作用は認めていない。進行、再発症例で3回以上の投与が行えた13例中3例でPR(部分奏功)の臨床効果を得た。有効例ではすべての症例でEx vivo INFgannma ELISPOT assayにてGPC3特異的CTLの誘導を認めたが、臨床効果が得られなかった10例中8例でもCTLの誘導は認められ、ELISPOT assayと臨床効果との間には明らかな相関は認められなかった。その他CRP、リンパ球数なども明らかなマーカーとは成り得ず、今後の検討課題となった。再発部位による臨床効果の検討ではリンパ節転移には効果を得られやすく、腹膜播種で効果が得られにくい傾向を認めた。 再発予防を目的とした寛解群では29例中7例で再発を認め、いづれも2期以上の症例であり、腹膜播種再発であった。癌微小環境との相互作用の解析では卵巣がん細胞株との共培養を行った腹膜中皮細胞はコントロールに比較してVEGFの発現および分泌が有意に増加しており、癌細胞と共培養した中皮細胞の培養液は血管内皮細胞の遊走能を促進した。以上の結果から今後腹膜播種をターゲットとした免疫療法の効果増強を目的として抗VEGF治療(ババシズマブ)+ペプチドワクチンの有用性が示唆される結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣明細胞腺癌を対象としたGPC3ペプチドワクチン療法の臨床試験は症例数も予定どおりであり来年度で終了を予定している。臨床効果が得られた症例も認めるが、現在までに効果予測マーカーの同定には至っていない。癌微小環境の研究においては癌細胞との共培養により活性化した腹膜中皮細胞は癌癌細胞のニッチとして作用し癌細胞および血管内皮細胞の遊走を促進することが分かった。今後癌、癌微小環境の相互作用をターゲットとして活性化中皮細胞より発現亢進を認めたVEGFの抑制とペプチドワクチン療法の併用が有効と成り得るという研究成果を得た。免疫抑制機序の解除を目的とした研究では卵巣がん細胞のTGFによるEMTに伴い2,3-dioxygenase (IDO) の発現が亢進しておりIDO抑制とペプチドワクチン療法併用の可能性が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果から癌微小環境をターゲットとした免疫療法の臨床応用に向けてVEGFの抑制とペプチドワクチンの併用をまず前臨床試験としてマウスでの検討を予定する。マウス卵巣がん細胞株にGPC3の遺伝子導入には成功している。ヒト卵巣がん細胞株を用いてヌードマウスでの検討も並行して行う。免疫抑制系の検討として卵巣がん細胞と腹膜中皮細胞共培養条件下に末梢血単核球を添加し、共培養後回収し、免疫抑制系細胞の出現頻度をFACSで検討し、ターゲット細胞の同定を行う。
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Research Products
(3 results)