2014 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子と内分泌の異常から分類する子宮内膜癌の新規カテゴリーと治療法の確立
Project/Area Number |
24592522
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田代 浩徳 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (70304996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 律生 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (10301376)
本原 剛志 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (10457591)
齋藤 文誉 熊本大学, 医学部附属病院, 診療助手 (20555742)
宮原 陽 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (40404355)
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (90224451)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 子宮内膜癌 / 内分泌学的異常 / 遺伝子異常 / 癌治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床研究において、熊本大学医学部附属病院にて加療を行った子宮内膜癌患者の内分泌プロファイルを解析しリスク因子別に分類したところ、高プロラクチン(PRL)血症のみ示す群(12例)、肥満およびインスリン抵抗性を示す群(15例)、癌家族歴を持つ群(11例)の3群に分類することができた。これまでに明らかにはされていなかった高PRL血症の群が、子宮内膜癌の成因の一つとして抽出された。免疫組織化学的解析により、高PRL血症のみ示す群において癌抑制遺伝子のPTENの変異が少ない傾向がみられた。また、血清PRL値:15ng/mlを境に2群に分けると、15ng/ml以上の群で有意にER-αの発現が高かった(84.6% vs 54.1%、P=0.04)。また、熊本大学医学部附属病院で施行した妊孕性温存治療にて、酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)療法の奏効と再燃に関与する内分泌学的因子を解析した結果、インスリン抵抗性を有する症例ではMPA療法が奏効しにくいが、メトホルミンを併用することでより効果が得られた。高PRL血症を有する症例では、MPA療法後にカベルコリンによる管理を継続することで良好な転帰が得られた。さらに、MPAより副作用が少ないディナゲストによる治療効果を、子宮内膜癌モデルマウスを用いて検証し、現在、英文雑誌へ投稿を行っている。 臨床研究より見出されたPRLに関する基礎研究として、不死化ヒト内膜腺上皮細胞株ならびに子宮内膜癌細胞株であるISHIKAWA、HHUAを用いて、PRLによる細胞増殖能を検討したところ、全ての細胞で増殖能が亢進した。また。PRLの添加にて、全ての細胞株のエストロゲン受容体(ER)α、PRL受容体(R)のmRNAの発現が増加したが、膜型エストロゲン受容体であるGPR30の発現変化は確認できなかった。PRLの増殖機構にはERαが関与していると考えている。
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