2013 Fiscal Year Research-status Report
卵巣明細胞腺癌の抗癌剤耐性克服による新規治療法の開発
Project/Area Number |
24592526
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
金山 清二 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10423914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重富 洋志 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20433336)
春田 祥治 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30448766)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
吉澤 順子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80526723)
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / 抗癌剤耐性 / HNF-1beta / 細胞周期 |
Research Abstract |
卵巣明細胞腺癌は抗癌剤耐性腫瘍であり依然予後不良な疾患である。明細胞腺癌に特異的に発現する遺伝子を同定し、抗癌剤耐性獲得に関わる機序を解明することが今回の研究の目的である。昨年までの研究成果として、まず、①卵巣明細胞腺癌に特異的に発現する遺伝子として、HNF-1betaを、細胞株を用いた網羅的解析および臨床検体を用いた免疫染色実験より同定した。次に、②HNF-1beta過剰発現細胞株を用いた抗癌剤感受性実験を行ったところ、各種抗癌剤の中でもブレオマイシンによる細胞毒性から、G2期での細胞周期を停止させアポトーシスを抑制する現象を解明した。つまり、HNF-1betaが細胞周期関連タンパクの制御とに何らかの関与があることが推定された。③そこで今年度は、HNF-1betaと細胞周期関連制御機構、特にDNA損傷チェック機構との関連について検討した。HNF-1beta過剰発現細胞株を用いたリン酸化タンパク発現実験では、チェックポイント機構の主要制御因子であるchk1タンパクが持続的にリン酸化していることが証明された。 そこで、chk1タンパクの発現を制御する上流遺伝子が、HNF-1betaの発現抑制により変動するかノックダウン実験を行ったが、明らかな発現抑制は見いだされなかった。 そのため、現在chk1タンパクの活性制御タンパクの同定およびHNF-1betaとchk1タンパクの分解系タンパク、ユビキチン化関連タンパクとの制御との関連ついて検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HNF-1betaが細胞周期制御タンパク、中でもチェックポイント機構の主要制御因子であるchk1の持続リン酸化に関与していることが証明された。chk1の持続リン酸化はDNA損傷を受けた明細胞腺癌細胞におけるアポトーシス誘導を阻害することになる。このため、変異遺伝子の蓄積および遺伝子不安定を引き起こし、抗癌剤中でもG2期に特異的に作用するブレオマイシンによる細胞毒性作用を回避している可能性が推定された。HNF-1beta自体あるいはchk1の発現および活性化を阻害することができれば、抗癌剤感受性を改善させる可能性が見出された。現在、NF-1betaノックダウン細胞株を用いた網羅的解析により chk1タンパクのリン酸化を制御する上流遺伝子を検索しているところであり、我々は現在claspinタンパクに着目し研究を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、まずclaspinタンパクの発現を制御する実験系を確立し、chk1のリン酸化を抑制できるか検討をすすめる方針である。さらにchk1タンパクのユビキチン化分解抑制機構との関連を解明し、chk1タンパクの分解抑制機構の解除による持続リン酸化抑制を図ることで、卵巣明細胞腺癌の抗癌剤耐性克服を目指す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
卵巣癌細胞株実験および抗癌剤感受性試験において当研究室保管の検体および試薬を使用できたため次年度使用額が生じた。 次年度において、chk1タンパクリン酸化の制御機構解明のため各種抗体の購入などウエスタンブロット等の実験系確立のため使用する予定である。
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Research Products
(1 results)