2012 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌の薬物応答に関与する新規バイオマーカーの特定
Project/Area Number |
24592529
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山上 亘 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30348718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
赤羽 智子 慶應義塾大学, 医学部, その他 (40398699)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 化学療法 / 分子標的治療 / SNP / copy number polymorphism |
Research Abstract |
本研究では、①卵巣癌に対する化学療法について、single nucleotide polymorphism(SNP)に基づいた卵巣癌術後化学療法(TC療法)の効果予測システムの開発 ②卵巣癌に対する分子標的治療について、分子標的治療薬の関連経路の異常を探索することによる、適応決定のバイオマーカーの開発 を目的とした。 ①については、標準治療を行い、術後化学療法としてTC療法を施行した卵巣癌および子宮体癌計100例よりリンパ球を採取し、DNAを抽出した。そのうち、解析に適切な症例と考えられる64例を選択し、リンパ球より抽出したDNAを用いて網羅的SNPアレイ解析を実施した。アレイチップはHuman OmniExpress Exome BeadChips(イルミナ社)を用いた。術後化学療法後の有害事象の代表的有害事象である好中球減少の重症度により2群に分け、2群を選別できるSNPの抽出を行い、統計学的解析を行っている。これらの結果より、効果判定に有用な診断キットの構築を行っている ②については、標準治療を行い、十分なフォローアップがなされており、予後が判明している卵巣癌症例139例の原発巣のHE染色標本を鏡検し、本研究に適した119例を選別した。その連続切片であるパラフィン切片の癌部からDNAの抽出を行った。これらのDNAを用いて、FGF3, FGF4, FGFR1, FGFR2, PIK3CAの5種の遺伝子についてreal time PCRによるcopy number assayを行った。解析可能だった85例のうち、24例(28.2%)でいずれかの遺伝子のcopy数の増幅が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状において、術後化学療法の効果予測を目的としたSNP解析は終了しており、また、分子標的治療薬の効果予測を目的とした候補遺伝子のReal time PCRは終了しているため、おおよそ順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、①single nucleotide polymorphism(SNP)に基づいた卵巣癌術後化学療法(TC療法)の効果予測システムの開発については、SNPアレイにて選別したSNPについて、新規症例を用いてvaridation assayを行う。新規100症例を選択し、手術摘出検体のパラフィン切片の非癌部よりDNAを抽出し、PCRでこれを増幅する。これをdirect sequence法にて選別したSNPについて解析し、化学療法の効果および毒性との関連性を検証し、効果予測システムを確率する。 ②卵巣癌に対する分子標的治療適応決定のバイオマーカーの開発については、FISH法を用いて、遺伝子増幅の確認を行う。また、卵巣癌細胞株よりDNAを抽出して上記と同様にreal time PCRを行い、候補遺伝子のcopy number多型を解析する。増幅を認めた細胞株についてin vitro、in vivoの系にて、効果の判定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、①についてはdirect sequence法に ②についてはFISH法および細胞培養関連費用について主に用いる予定である。また、消耗品購入や学会発表や情報収集等の旅費も見込んでいる。 なお、②については当初予定していたFISH法の実施が遅れたため、24年度の研究費に未使用額が生じたが、上述通り、25年度に実施予定としている。
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