2012 Fiscal Year Research-status Report
婦人科癌転移の特異的糖鎖構造解析と認識糖鎖抗原をターゲットする新規治療抗体の開発
Project/Area Number |
24592530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00255514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅美 慶應義塾大学, 医学部, その他 (10276321)
冨永 英一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80276328)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍 / 糖鎖抗原 |
Research Abstract |
婦人科癌のリンパ節転移は重要な予後因子であり、臨床的にはリンパ節転移を有する症例は様々な治療法に対して難治性であり、従来の抗癌剤治療の効果には限界がある。従って、リンパ節転移をターゲットした新たな治療薬の開発が必要とされる。本研究では最初に、転移過程における糖鎖の役割を解明するため、転移関連の特徴的糖鎖プロファイルおよび治療ターゲットを解明し、転移関連の糖鎖バイオマーカーを選別後、治療ターゲットの糖鎖を認識するモノクローナル抗体の作成を目的としている。 本年度の研究目的は婦人科癌のリンパ節転移に関連する糖鎖バイオマーカーの同定である。癌化にともなう糖鎖異常は以前から注目され、リンパ行性転移過程においては細胞間の認識に細胞表面糖鎖は重要な役割を果たす。他臓器の研究では癌細胞の転移能上昇においては特に糖鎖の末端修飾の割合が増加することが解明されているが、婦人科癌での転移特異的糖鎖構造は解明されていない。本年度は婦人科癌(主に卵巣癌および子宮体癌)の手術検体を用いて原発腫瘍および転移性腫瘍の細胞表面の比較糖鎖解析を行い、質量分析にてリンパ節転移との関連性が高い糖鎖構造を選別した。 卵巣癌および子宮体癌の手術検体を用いた糖鎖構造解析には糖鎖構造のプロファイリングを解析可能とするレクチンマイクロアレイを用いて行った。解析結果では転移能上昇にともなう末端糖鎖修飾には高マンノース型糖鎖、フコシル化糖鎖、モノシアリル化糖鎖などが特に重要であることが判明した。これらの構造の特異性にあわせた判別子レクチンを固定化したマイクロアレイを作成し、転移関連の糖鎖バイオマーカーの候補を複数同定し、質量分析にてそれらの糖鎖構造を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画はおおむね順調に進展している。現在までに比較糖鎖解析および発現解析にて転移特異的な糖鎖構造の候補を複数同定しているが、その後の候補糖鎖構造のバリデーションとしての抗体―レクチンのサンドイッチアッセイでの確認作業が進行中であるが、完全には終了していない状況である。現在はglycoblotting法を利用して、細胞表面糖鎖構造を比較検討がほぼ終了し、それらの候補糖鎖構造を質量分析にて同定中である。候補糖鎖構造の絞り込みが終了次第、バリデーションの最終確認を行う予定にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の目標としては以下を行う。 a) 婦人科癌の転移関連の糖鎖バイオマーカーを同定し、glycoblotting法を利用して、治療ターゲットの糖鎖構造を選別する。Glycoblotting法で表面糖鎖の捕捉を行い、質量分析にて糖鎖構造を特定する。 b) SweetBlot法を用いて、糖鎖構造を有する腫瘍細胞を選別する。SweetBlot法は糖鎖自動抽出装置であり、糖鎖抗原を高速に選別可能とする。精製した腫瘍細胞を免疫原免疫原としてマウス免疫にて新たなモノクローナル抗体を作製する。 c) 転移関連糖鎖抗原をターゲットする新たなヒトモノクローナル抗体を作成する。抗腫瘍効果を有する抗体は臨床試験にて臨床応用を目指して開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はまずは転移関連糖鎖構造を有する腫瘍細胞の特定を行う。転移関連糖鎖構造を有する腫瘍細胞をsweetblot法にて選別し、高速定量的糖鎖解析にて糖鎖を精製する。このsweetblot法は細胞表面糖鎖をケモセレクションにて捕捉を可能とし、特定な糖鎖構造のみを選別し、その構造を発現する腫瘍細胞を生体試料としての利用を可能とする。上記方法にて転移関連糖鎖抗原を発現する腫瘍細胞を精製する。 さらに新規ヒトモノクローナル抗体の作製を行う。上記方法にて精製した腫瘍細胞を免疫原として完全ヒト型抗体を産生するKM mouseに投与し、従来の方法にてヒトモノクローナル抗体を作製する。癌細胞のみを高い確率で認識するヒト型モノクローナル抗体を作製してきた。すなわち、KM mouse脾細胞とミエローマ細胞SP2/O-Ag14をPEG1500を用いて細胞融合を行う。得られたハイブリドーマの培養上清を用いた免疫組織化学的染色を繰り返し、限界希釈法により特異的に反応するハイブリドーマを選別する。ハイブリドーマのスクリーニングには臨床検体の転移巣および原発腫瘍の違いを利用してcell ELISAおよび免疫組織化学的に選別する。
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[Journal Article] In vivo regulation of steroid hormones by the Chst10 sulfotransferase in mouse2013
Author(s)
Suzuki-Anekoji M, Suzuki A, We SW, Angata K, Murai KK, Sugihara K, Akama TO, Khoo KH, Nakayama J, Fukuda MN, Fukuda M
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Journal Title
J. Biol. Chem
Volume: 288 (7)
Pages: 5007-5016
DOI
Peer Reviewed
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