2012 Fiscal Year Research-status Report
卵巣明細胞腺癌に高発現するHNF-1βによるがん微小環境構築機構の解明
Project/Area Number |
24592532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20199334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 卓 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30296652)
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / がん免疫 / 卵巣癌 / 癌微小環境 |
Research Abstract |
卵巣明細胞腺癌(OCCC)は、IL-6をはじめとする免疫抑制性cytokineを高産生する特徴を有することが知られているが、その機序は明らかではない。 今回はOCCCに高発現する転写因子であるhepatocyte nuclear factor-1β(HNF-1β)に着目し、癌微小環境における免疫抑制に関与する否かを検討した。 (1)HNF1βを高発現するOCCC癌細胞株(mock株)と、そのshRNA導入による発現抑制細胞株(sh株)を作成し、培養上清中のIL-6量をELISA法にて解析した。 sh株ではHNF-1βの発現抑制によりIL-6の産生量がmock株に比較し有意に減少した。sh株およびmock株でのNF-kB、STAT3の活性は、sh株では有意に活性が抑制された。(2)樹状細胞(DC)の活性化を評価するため、mock株とsh株それぞれの培養上清を添加した培地(mock株培地、sh株培地)にてDCを培養し、産生されるIL-12とTNF-αを定量した。 sh株培地では、mock株培地に比較して培養されたDCの産生するIL-12とTNFαはともに増加し、 DCが活性化されていることが示された。 (3)DCのT細胞刺激能を評価するため、(2)と同様の培地でDCとT細胞を共培養し、リンパ球混合試験(MLR)を行った。 DCとT細胞を共培養するMLR試験ではsh株培地でmock株培地に比してT細胞の産生するIFNγ産生量が増加し、DCのT細胞刺激能が増強していると考えられた。OCCCにおいてHNF-1βを抑制すると、NF-kBやSTAT3の活性が抑制されることによりIL-6の産生が抑制され、さらにDCが活性化されT細胞刺激能も増強することが示された。 したがって、HNF-1βはOCCCの癌免疫抑制環境に関与するとともに、それを解除する標的分子となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
HNF-1b高発現株とレンチウイルスshRNAを用いて発現抑制株を作製し、サイトカインなどの解析を行い、また関連するシグナル伝達系の解析を行った。25年度に予定されていた免疫細胞へのin vitro解析も先行して実施し、予想された結果が得られたことから、当初計画より進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、(1)マクロファージなど他の免疫細胞に対するHNF-1βの関与を検討し、(2)今回用いたsh株/mock株をヌードマウスへ移植し、腫瘍形成能およびマウスリンパ組織の樹状細胞やマクロファージなどへの作用にHNF-1βの関しての検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大部分を消耗品費(試薬・器具)で使用する。マウス実験を実施するために実験動物代を計上した。また学会には参加するために学会参加費を計上した。東京近郊のため旅費は計上していない。
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[Journal Article] Autocrine and paracrine loops between cancer cells and macrophages promote lymph node metastasis via CCR4/CCL22 in head and neck squamous cell carcinoma2013
Author(s)
Tsujikawa T, Yaguchi T, Ohmura G, Ohta S, Kobayashi A, Kawamura N, Fujita T, Nakano H, Shimada T, Takahashi T, Nakao R, Yanagisawa A, Hisa Y, Kawakami Y.
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Journal Title
Int J Cancer
Volume: 132
Pages: 2755-66
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cancer-testis antigen BORIS is a novel prognostic marker for patients with esophageal cancer2012
Author(s)
Okabayashi K, Fujita T, Miyazaki J, Okada T, Iwata T, Hirao N, Noji S, Tsukamoto N, Goshima N, Hasegawa H, Takeuchi H, Ueda M, Kitagawa Y, Kawakami Y
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 103
Pages: 1617-24
DOI
Peer Reviewed
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